恐い楔(くさび)
節などが絡み合い、なかなか割れない玉に出会うとき、最初の頃は楔とハンマーでガンガン割っていた。
しっかり割れてほしいので、いいものを買おうと思ってグレンスフォッシュの薪割り楔を奮発して購入。
フィスカースでは手も足も出ない玉をガンガン割っていた。
こうして割れてくれると気持ちいい。
ところが、12月のある日。乾燥が進んでしかも節が入り乱れたややこしい玉を割っているとき、何度も何度も楔が割れ目に喰われて、やたらめったらハンマーをガンガン、おかしくなりそうなくらい降り下ろしていて、しばらくして身体に異変が生じはじめた。
右肩から脇の下にかけて、嫌な痛みが続くのだ。年末の忙しい仕事の間も、正月休みの間も、年明けの研修中も、年始の仕事が始まってもずっと痛みは引かなかった。それどころか、夜寝ていても、寝返りを打つと激痛が走り、睡眠もまともにとれなくなり、悪化の一途をたどってしまっていた。
仕方がないので、いざというとき頼りにしてる整体の先生に2回診てもらってなんとか回復に向かったが、楔を無理に打ちまくった報いが、70日ぐらい続く痛みとなってしまった。
楔だけが悪いわけではないが、夢中で薪割りに興じていると、普段全く使わない筋肉を酷使する結果となりかねない。あくまでも、薪割りはレジャーなので、無理は禁物だ。
と、自分に言い聞かせてみる。
それから怖くなって、楔はほとんど使っていない。というか、楔を使わずに薪を作る工夫をするようになった。
楔を使わない工夫についてはまた後日書いてみようと思う。
薪ストーブ音楽館②「Music From Big Pink」
寒い冬の夜。薪ストーブが煌々と燃える部屋にテレビは似合わない。
もちろん、部屋を暗くして静かに薪がはぜる音に耳を傾けるのも素晴らしい。
しかし、時には炎のぬくもりを感じながら、じっくりと音楽を聴いてみるのもいい。
そんな、薪ストーブを傍らに置いて聴きたい音楽を紹介する「薪ストーブ音楽館」。今回はこの一枚。
Music From Big Pink / The BAND
ベタですみません。
しかし、これはまあ当たり前かもしれないが、薪ストーブには生っぽい音の楽器がよく似合うと思う。そして生音による極上のバンドサウンド、という意味で、このアルバムを無視することは到底できない相談だ。有名かどうかは置いておいて。
生のピアノ、生のドラムに、シンプルなギター・ベース・ドラムの編成。目を閉じると、まるでここにバンドがいるかのような生々しい音像。
一曲目から一気に引き込まれる。薪ストーブを傍らに聴くのに、まさに完璧なオープニングだ。この哀愁を薪ストーブユーザーが好まないはずがない。
これまた勝手な妄想で恐縮だが、このアルバムを聞くなら、ぜひアメリカを代表する薪ストーブ、バーモントキャスティング社のアンコールを焚きながらじっくり聴いてみたい。
アンコールの意外に大きな薪のはぜる音と、ザ・バンドのいぶし銀のサウンドの相性は抜群なはずだ、知らんけど(笑)。
とりわけ、生ピアノのサウンドが心に染みるはずだ。
グッド・オールド・アメリカ万歳!でもトランプさんはどうなるの?
まあとにかく、アメリカにもすばらしい文化はあるのだ。ボブディランとか、ザ・バンドとか、ファウンティンズオブウェインとか。
と、いいながら、実はザ・バンドはメンバー5人中4人がカナダ人だったりする。アメリカ人は一人しかいない。
で、カナダ製の薪ストーブと言えば、あまり知られていないが、リージェンシーという会社のFシリーズがある。
こんな感じの使いやすい薪ストーブだが、今回のアルバムを聴くなら、やっぱりアンコールがいいなぁ。ごめんなさい、カナダのリージェンシーさん!
薪ストーブ前史⑮キノコ薪と薪棚の成長
桜の原木をもらったところでも書いたが、実家の新築をお願いしている工務店の社長が薪ストーブユーザーで、日頃から原木集めや薪割りをしているそうだ。
実際、工務店の木の加工場にはきれいな薪がズラッと並んでいる。
よくみるとその中に、屋根で覆われていない薪があった。もう朽ちる寸前で、キノコがびっしり生えてたり、カビていたり黒ずんでいたり…。
無惨な姿の薪たち。
「これ、持っていってもいいよ」
と社長。薪棚が満杯で積むところがなく、泣く泣く打ち捨ててあったものらしい。
ちょっと勇気がいるが、とりあえず、いただけるものはいただこう!選り好みはいかん。
そもそも、薪として割られたものが、キノコやカビなどで朽ち果てていくのを見るのはなんとも忍びない。
で持ち帰ったキノコカビ薪。
さらにアップでもう一枚。
うーん、一面キノコでおおわれてる。
これ、薪としての役割を果たすのかどうなのか?焚いてみるしかない。とにかく、まずは可能な限り乾燥させて状態を戻すことが先決だ。何年か雨ざらしが続いた薪は、キノコびっしりのものだけでなく、黒ずみまくったもの、カビで紫に染まったもの、水分でずっしり重いものなど、とにかく曲者ぞろいなのだ。
そんな、黒っぽいフィーリングの薪たちを薪置き場に並べてみた。
うーん、全般的に黒い!
特に右側に黒いやつらを固めてみた。
他の薪たちと比べてみよう。
左が桜の薪。真ん中が小錦クラスの栗の薪。そして右の薪が今回の黒い薪。
すこしずつ薪棚が成長してきた。
薪ストーブ前史⑭桜の原木をもらう
実家の建て替えをしてくれている工務店の社長がこれまた薪ストーブユーザーで、木工加工場にせっせと材木を運んで薪割りをしていたらしいのだが、大きな桜の木を運んだところで持病の腰痛が悪化して薪割りできないまま、放置していたらしい。
で、ちょうど薪割り中毒患者と化していた僕に、よかったら持っていってもいいよ、と声がかかった。本当に、絶妙のタイミングで次々と木が手に入るのは、幸運としか言いようがない。
で、これがまた太い木だったので、玉切りして、ひたすら割った。
まだ伐採してからそれほど長く放置されていなかったからか、かなり気持ちよく薪割りを楽しめた。フィスカースは桜の玉をスパスパと切り裂くように割っていった。
フィスカースのいいところは、それほど割ったときに薪が左右に吹っ飛んでいかないことだ。エラの張った斧だと、斧の重さで割るので、割る力は凄いが左右に10mくらい吹っ飛んでいくらしい。車を凹ましたなんて話もちらほら聞く。
さて、全部割るとなかなかのボリュームになった。
後ろにもあって2列並べたので、2立米ぐらいにはなっただろうか。
桜の木は赤みがかっていて、非常に美しい断面だ。焚くと薫製に使われるだけあっていい香りが漂うそうだ。しかも乾燥が早く、来シーズンには充分使えるという使い勝手もありがたい。
火持ちは楢やくぬぎには劣るそうだが、ありがたいことこの上ない。
直径30㎝の桜の長大な原木2本、これは次のシーズンの後半には焚けるだろう。楽しみだ。
これが画板薪(がばんまき)だ!!
少し前に画板薪について書いた。
薪ストーブ前史⑬カラカラの広葉樹の薪割り - 薪ストーブクロニクル
この間薪割りをしていてさらにイメージにピッタリな画板薪が不幸にもできてしまったので紹介する。
乾燥が進みすぎた玉を薪割りするとき、繊維に沿ってしか割れない頑固な玉になることがよくある。
細目に割ってから縦の線に割りを入れて普通の薪の形に整えるしかないのだが、コントロールをミスるとこんな薄い薪ができあがる。
こう見ると普通の木に見えるが、実は、
こんなに薄い。
角度を変えてこんな感じ。
いやはや、画用紙をのせて湖や寺に写生に行った小学校時代を思い出させるので、画板薪と名付けた。
薪ストーブの傍らに置いてあっても、全くかっこよくない。いや、かなりカッコ悪い。
どうでもいい話のダメ押しでした。
FISKARS X25偏愛③お気に入りのX25とX7
さらにつづきだ。
フィスカースについての不満、三つ目は、
「③だいいち、オレンジと黒という色の組み合わせが斧っぽくない」
というものだ。これについては斧の雛形のようなものが頭の中にあるので仕方がないかもしれないが、フィスカースの斧は非常にきちんと作られていて機能美を感じるので、使っているとだんだん愛着が沸いてくる。
グラスファイバー強化プラスチックやカーボン鋼など、一般人には謎の素材をたくさん使っているので、はっきり言って分からないことだらけだが、スイングスピードをに乗せて木をスパッと切ることのできる切れ味は病みつきになるし、ミスヒットに強いというのは素人にはありがたい。
あまりにデザインが気に入ったので、とりあえず小さい手斧(ハチェット)もフィスカースで揃えてみた。X7という品番のものだ。
これは焚き付けを作るために小さい薪をさらに細かく割ったり、枝を払うのに力を発揮してくれる。おそろしい切れ味。指を落とさないように細心の注意が必要だ。
x25砥石と同じが使える。
焚き付け作りについてはまたそのうち書いてみたいと思う。
とりあえずフィスカース。今のところ、必要にして十分。最高の斧だ。