薪ストーブクロニクル

食とエネルギーの自給を目指して

薪ストーブ前史・総集編②「栗の薪割り」

記念すべき広葉樹での初の薪割りとなった思い出深い「栗」。総集編としてその伐採から乾燥までをまとめた。

 

1.樹齢30年の栗の木

親が田舎に引っ越してきたときに植えた栗の木が30年経ってとても大きな木に成長した。

 

幼少期からずっとそこにあったのであまりはっきり覚えていないが、気がついたらこんなに大きくなってたのか、という感じだ。

秋になるとイガのついた栗の実をぼとぼとと落としてくれていた。

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家の建て替えの時に邪魔になるので切ることになった。

 とてもではないが、その時家にあった電動のチェーンソーでは歯が立たなかったので、業者さんに伐採してもらい、もしかしたら薪ストーブを導入するかもしれないから、薪用にとそのままにしておいてもらった。

 

2.小錦は転がせない

さて、いざ薪ストーブ導入が決まり、この栗の木を薪にするべ、ということになったが、困ったことが起きた。

この栗の木、樹齢30年だけあって、直径50~60㎝。長さ約2メートル。チェーンソーが使えるコンセントがある場所まで、重すぎて転がせなかった(汗)

 

直径が50~60㎝で長さが2m。間をとって直径を55㎝とすると体積が約0.5立米。

そして栗の比重は約0.6。

つまりざっくりとだが、少なくとも300kgぐらいはあった計算になる。

 

日本相撲史上最も体重の重かった関取であるハワイ出身の小錦ですら285kgだ。小錦以上の重さの原木をおいそれと転がす事などできようか。いや、それはちょっとできない相談だ。

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 さて、仕方ないので延長コードを2つ繋げて電動チェーンソーで5等分にした。そうすれば約60kg。米俵1俵分だ。もしくは普通のサラリーマン一人分だ。余裕で転がった。余裕で転がったので、薪割り場までゴロゴロ転がした。

 

よし割ろう。直径60㎝。薪長40㎝。堂々たる玉が目の前にあるのだから。

 

 3.栗ははぜるらしい

 栗の木は、比較的比重が低めで、火持ちも、ナラやクヌギのようにパワフルではないらしい。しかも、導管と呼ばれる、木が水を通す管が、世界中の樹木の中でも最大級に太いらしく、薪として火にくべたときその導管が破裂して、パチパチとはぜるらしい。はぜると、火の粉が飛び出してきて結構危ないらしい。

焚き付けなどのときに迂闊に栗を放り込んだりしたら危ないじゃないか。

それなら、栗は栗として他の薪から隔離して、これは栗だぞ、と認識しながら使用すれば、そんなに危なくないんじゃないか、それなら栗専用薪棚に丁重に保管して乾燥させればいいんじゃないか。

 

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右のひときわ大きな玉がターゲットの栗。

左には中くらいの針葉樹の玉と金木犀の小さな玉がある。

 

4.栗を悪

よし、とにかく割ろう。

 

えいや!!

 

パカーーーン

 

おお!なんちゅう手応え!

爽快!

快感!

 

フィスカースの斧、玉切りしたての玉なら、どんだけ太い木でも一刀両断じゃないか!

半割り、そしてそれをまた何等分にもしていく。ひとつの玉から20本くらいの中割りの薪ができた。 

 

 庭にはえていた、たった一本の原木から、驚くほど大量の薪を作ることができた。

当然割りたてなので、たっぷり乾燥させなければダメだ。含水率も30%を超えている。

薪棚はまだ環境的に作れない(新築工事中)ので、適当に屋根のある軒下に積むしかない。

 

で、積んでみたのが下の画像。

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 初めての人間が、まとまった量の薪を、生半可な知識で積むとこうなる。

 いや、これはひどい

井桁に積もうとしている両サイドが今にも崩れそうだ。

高く積み上げられるはずの井桁の積み方なのに、これ以上上に積むと確実に崩れてしまう。

しかし、とりあえず栗はこれでおしまい。一本の原木からこれだけの薪が作り出せた。

大満足だ。次の冬には焚けるだろうか?

 

5.栗の含水率

そして、しばらく時は流れ…

 

栗の玉切りをしたのが去年の11月。長さ40㎝の太割り、中割りをサクサクつくったのだが、なんといってもその重さに驚いたものだ。それまで針葉樹ばかり割っていた身には、この重さと手応えの違いに驚き、そしてワクワクしたものだ。これが広葉樹か、これだけズシッとした薪ならさぞかし火持ちがいいのだろう、と。

 

それから4ヶ月。寒い冬を越えて身体も動くようになってきたので栗の薪を移動させようと思った。薪置き場を新たに整えていざ動かそうと栗薪を手に持ってみて、再び驚いた。ものすごく水分が抜けて、めちゃめちゃ軽くなっているのである。目隠しして利き薪をしたら「えーっと針葉樹かな?」と言ってしまいそうなほど、軽くなっていたのだ。

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確かに薪ストーブ関連の本やブログには、

 

栗…パチパチはぜる音が風情がある。火持ちは悪い

 

みたいなことが書いてあった。しかし、最初に栗を薪割りしていた時のあの重さしか印象にないため

「え、栗はすぐ燃え尽きるの?こんなに重いのに?うちの栗に限っては火持ちがいいんじゃないの?」

などと都合のよい解釈をしていたのだが、驚くほど短期間で水分がザバーッと抜けた印象だ。まだひと夏も越してないのに。

 

実際に大割りをひとつ、半分にして含水率を計ってみた。

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フィスカースで割る!

節があって意外と硬い。

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割った断面の中央部分の含水率を計ると、なんと13~15%と出た。もう完全に乾いてる。すぐにでも焚ける。

導管が長い栗は実に簡単に水分が抜けていくんですね。そしてめっちゃ頼りない重さに…。

 

とはいえ焚いてみるまでわからない。

実際に焚いたらどんなことになるか、楽しみだ。