薪ストーブクロニクル

食とエネルギーの自給を目指して

薪ストーブ始生代90 恐怖のキックバック

チェーンソーは危ない機械である。

 

 

広葉樹の固い大木を伐るために、鋭利なチェーンを高速回転させて、グイグイ伐り進んでいくものだ。

誰が見たって、その一角獣のごときルックスも、遥か遠くまで響き渡る凶暴なサウンドも、明らかに危ない雰囲気を醸し出している。

殺人鬼の代名詞たるジェイソンさんが持っていたというイメージも(実際にはジェイソンはチェーンソーを使っていないらしいが)、そのアブノーマルな雰囲気を助長している。

 

チェーンソーをふざけて使うことなんて、いくらワイルドを売りにしている僕でもちょっとできない相談だ。

 

だからもちろん、チェーンソーを使うときはかなり神経を使っている。

この1年でかなり頻繁に使った。

玉切りやゴンタ切りはもちろんのこと、横倒しになった重さ数トンはあろうかという大木もバラバラにしたし、斜めに傾いた倒木や、朽ちた立ち木まで切り倒した。

 

バーが木にはさまれて抜けなくなる事態には、幾度となく陥ったが、それでも常にビビりまくって切っていたので、素人ながらもなんとか危険を防ぎながら使用できたと思う。

 

しかし、チェーンソーの危険には、なんとバリエーションが多いことか。

先日、チェーンソーがらみでこんな事があった。

山に入って残った大木の切り株を残らず薪にしようと切っていたときのことである。
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横倒しになったこの切り株。もったいないので、根元ぎりぎりまでチェーンソーで切っていた。
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すると次第に裾が広がっていき、バーサイズの35㎝を超える直径に達した。

 

しばらくそのまま諦めて放置していたのだが、山の所有者のおっちゃんがユンボで切り株を立ててくれたので、残った部分も切ってしまおうと、再びチェーンソーを手にした。

マグロのサクのように、切れる場所を縦と横にチェーンソーの刃を入れて、ブロック状にして少しずつ切り取っていく。

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するとこんな感じで切れていく。
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くぬぎの根元は恐ろしく硬くて、なかなか思い通りに切り進めない。

チェーンソーを高い位置に持ち上げて、横向けに刃を入れていた、その時・・・。

 

「グギャー」

 

という、妙な音と共に、チェーンソーが顔に向かってキックバックしてきたのだ。

 

手でしっかり止めたので、無傷ではあったのだが、ぼんやりしていたらチェーンソーの刃を顔面で受けていたかもしれない。

 

その後も、腕でしっかり支えられない状態で切るチェーンソーは、いつもとは違う動きをした。

その暴れ方が予想ができなかったので、「これはあかんやり方なんや」と頭でも身体でも理解した。

 

そして、潔く残りの切り株を諦めることにした。

もっと切る姿勢がちゃん取れる場所だったり、切り方の経験なりがあればいいのだろうが、危ないということが分かっていなかったばっかりに一歩間違えれば、大惨事だった。

 

玉切りやゴンタ切りを行う時も、決して油断せず、これはとてもとても恐ろしい道具なのだということを忘れないようにしよう。

 

チェーンソーを使い出して丸一年。

まだまだ素人丸出しなのに、なんだか使いこなせているような気になって図に乗っていたのがいけなかったのだろう。

大いに反省するとともに、これからは細心の注意をしながら使うようにしよう。