薪ストーブクロニクル

食とエネルギーの自給を目指して

薪ストーブ始生代107 ネスターマーティンを端材だけで焚いてみる。そして、原生林について

ほんの数日だったが、急に寒い日が戻ってきた。

薪ストーブを焚かなくても過ごせなくはないが、ちょうど割っていた端材が少しあったので、夜の数時間、薪ストーブとともに過ごすことにした。
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外気温はぐんぐん下がり、夜明けには一桁、しかも5℃を下回ってかなり寒くなっていた。

寝る前の8時、9時代も外気温は10℃以下、保温性の高い室内でさえ18℃くらいまで下がり(まあ充分暖かいけど)、「なんかいつもより肌寒いねぇ」ということで焚き付けをスタートしたのだった。

 

焚き付け材は細かく割った端材。

だいたい細かいものが、10本~15本ほど。

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↑こんな感じの焚き付け材だ。

 

で、しっかりネスターマーティンの鋳物を温めて、約45分で巡航運転に達する。


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その時点で、結構暖かくなってきているので、少し太めに割った端材を数本入れれば、それでお腹いっぱいだ。

ナラやくぬぎなどの広葉樹は、この時期はお呼びじゃない。それどころか、針葉樹の薪さえ使わず、ひたすら廃材や端材だけで暖まる。

それだけで充分だ。火持ちが良い良質の薪は部屋をガツンと温めるので、この時期の室温だとやや暑くなりすぎるきらいがある。

 

ただ、これはあくまでもネスターマーティンという、やや構造が独特の薪ストーブだからこそできるのかもしれない。他のストーブのことはよく分からないが、ファイヤーピットさんも以下の記事のように書いておられる。

 廃材だけでは絶対に無理 | 函館の薪ストーブ屋 ファイヤピット 熾壺日記

 

前にも書いたのでしつこいかも知れないが、端材や廃材だけで薪ストーブをコントロールするのは、本当はとても難しいらしい。

しかし、ネスターマーティンという薪ストーブは、プリヒーティング(あらかじめ温められた)非常に少ない空気で焚く構造なので、廃材、端材のようにパッと燃え付きてしまいそうなものでも、結構じわじわと燃えてくれて、いい感じで「あったけー」になるのである。

その日の寒さに応じて2、3時間焚く。

お風呂上がりに部屋がポカポカなのは、この時期は何気にありがたいのだ。

 

五月になってまで薪の使いすぎを気にせず、余り物の端材たちだけでこれだけ暖がとれるのは、薪貧乏の我が家には助かっている。

 

おまけ:

ここ最近、また山に入る事が多い。

毎日同じ山を登るのだが、なかなか面白いものが見られる。

ある日、その場所は濃霧が立ち込めていた。こんな感じ。
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水墨画の世界と言うか、なんというか。

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幽玄な雰囲気だ。かなり山深い場所で、この周辺には植林された針葉樹は1本もなかった。ひたすらブナが生い茂り、原生林と呼びたくなる。

天気の良い日に同じ場所を歩くと、こんな感じになってた。
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 おお、なんかかっちょええなぁ。

しかし同じ場所とは思えないくらい、ガラリと雰囲気が変わった。日本の山にも、人が入りにくい場所にはこのような原生林がまだたくさんあるのだろうか?

 

さて、では原生林ってそもそもなんだろうか、と調べてみた。厳密にいうと、「原生林」というのは結構難しいものらしく、植物の集まりが徐々に発達を遂げて(遷移と言う)、次第に森林になっていく。森林というは植物の集まりの形態としてはものすごく完成された状態だそうで、突き詰めた森林の状態の事を極相(極相林)と呼ぶのだそうだ。

その極相林が、人の手での伐採や災害による破壊を長年免れ続け、次第に高木化し、落ち葉や枯れ木などで土壌がより深く肥沃になっていき、さらに突き詰められた状態で保たれている森林を初めて原生林と呼んでいいのだそうだ。

 

その意味では、僕が出会ったブナの森林は、原生林と呼ぶにはまだ大径木が少ないのだろうか。

 

破壊を免れて、いつか堂々たる原生林に育ってほしいと思った。

 

しかし、薪ストーバーがつい考えてしまうのは、こんな天然のブナの木だと、極上の薪になるのだろうなぁ(笑)とか、そういう事だ。

仮に伐採したところで、こんな山深いところから下界まで持って降りるのは不可能に近いが・・・。