オフグリッド入門⑥ 節電強化月間と再エネ賦課金
6月になった。
しかし今日の話題は5月の出来事についてだ。
5月といえばイチゴが旬。
我が家のジャングルイチゴ畑は、アナーキーな匂いを漂わせつつ、毎日ボウルに一杯の収穫がある。
そのまま食べたり、イチゴミルクにしたり。
残りは冷凍して、ストーブシーズンにジャムにする予定だ。
さて、四月半ばから五月半ばまで、電気代の請求のスパンからいくと5月分の電気代についての報告だ。
その前に、簡単にここまでの流れを振り返っておこう。簡単に振り返れるか、自信がないが(笑)。
まずオフグリッド的な暮らしを始めるにあたり、暖房を全て薪でおこなう「暖房のオフグリッド」がはじめに成し遂げられた。というか、これは今後も連綿と続く薪作りが前提なのだけど...。
で、次に太陽熱温水器と雨水タンクを設置した。
これは不完全ながら「給湯のオフグリッド」と「水道のオフグリッド」を達成し、日々楽しくお湯や水を活用している。
晴れたらプロパンガス不使用で熱々の風呂に入れるし、雨が降ったら洗濯に必要な水は確保できる。
また、雨水のタンク(1250㍑)や温水器(200㍑)は、たとえ断水しても一応水源が確保できるという、安心感にも繋がるので、その点もありがたい。
さて、調理用のガスは、普段はプロパンガスに頼っている。
冬なら薪ストーブの天板が調理用の熱源として大活躍なのだが、幸か不幸かいまは暖かい季節なので、焚けない。
もちろん、ガスが使えないような災害時は野外薪ストーブでいくらでも煮炊きができるので、不安はないが、普段からオフグリッド化できているわけではない。
これは「おくどさん」でも導入するしかないか。
まあ、それはさておき、身の回りのライフラインが着々とオフグリッド化への道を歩んでいる中、最も重要で、もっとも当たり前に使ってしまっている「電気のオフグリッド」の問題にぶち当たるわけだ。
「オフグリッド」という言葉からして、送電線(グリッド)から切り離す(オフ)というのがもともとの意味なわけで、電気こそがオフグリッド生活の本丸とも言える。
で、オフグリッドを完全に実現するために重要な課題は、もともとの生活で使用する電気量を減らすこと、つまり(当たり前すぎる話だが)節電だ。
一体かつての自分は、1ヶ月に何キロワットの電気を使っていて、一日あたりどれくらいなのか、意識したことがあっただろうか?
電気代すら、何の疑問も持たずに送られてきた請求額を支払っていただけだ。
しかし、電気をオフグリッドしようとなると、日々の電気量を管理する必要がある。
なにせ、発電量にも蓄電量にも限りがあり、湯水のように電気をしようしていては、オフグリッド化は難しくなるからだ。
もちろん、お金がいくらでもあれば、大量のソーラーパネルを並べて、いくつものバッテリーを配備して、電気も使い放題、となるわけだが、それでは面白くない。
というか、お金で解決できるのが、いちばん頼りにならない方法だと思う。
経済が破綻してお金が紙切れになったとき、もうその方法はあてにならないからだ。
お金以外の方法で(つまり自分の知力体力、知識や技能で)解決しようとする発想を日頃から持ち続けていたいと思うわけだ。
さて、そうなると生活をもう一度見直して節電してみようということになり、3月に電子レンジを知人に譲り、テレビを観ない生活を始めた。
しかし、まだまだ徹底できなかったので、四月の電気代は1345円だった。使用した電気量は55kw。
この家に暮らし始めてから一番少ない数字を叩き出したが、まだ不満だった。
冷蔵庫も洗濯機も普通に使用して、なんとか電気代1000円を切れないか。
よし、5月は節電強化月間にしよう。
と、ここまで前回までのあらすじを振り返った。
ほら、簡単に振り返れなかったでしょ。絶対に長々と書いちまうと思った(笑)。
さて、ようやく本題だ。
5月。
節電強化月間。
①節電条件としては、冷蔵庫と洗濯機、及びステレオは普通に使用する。
②掃除機は必要な時だけ。ふだんはモップやホウキなどで掃除する。
③電子レンジは完全になし。
④テレビは2回だけDVDで映画鑑賞した。
⑤部屋の灯りは、太陽光充電式のランプをフル活用し、可能な限り使わない。
条件の①に関しては、普通の家庭と同じ条件だ。冷蔵庫と洗濯機をなくすのは、それはそれで魅力的な暮らしだけど、フォロワーがいなくなりそうなので、冷蔵庫や洗濯機を普通に使っても節電できることを証明したい。
②はあまり難しく考えず、適当に掃除機も使ったと思う。
③これは一見困難な気がするが、工夫次第でなんとでもなった。
④テレビは贅沢な娯楽になった。日々、テレビから刺激を受けない分、もっとソフトな刺激にも敏感になったと思う。例えばラジオ。
⑤夜は暗いものだ。普段から夜に薄暗い部屋で過ごすようになると、寝付けないということがなくなって、9時ぐらいに眠くなる(笑)。
まさに「北の国から」第1話の黒板五郎の超名ゼリフだ。
電気がない富良野の暮らしに無理やり連れてこられたダメ息子の純とのやりとり。
純「電気がなかったら暮らせませんヨ」
五郎「そんなことぁないですヨ」
純「夜になったらどうするのぉ?」
五郎「暗くなったら寝るンです」
くぅーーーーー。
北の国から、第1話にして、全ての物語の中でのハイライトとでも言うべき、超名シーンだ。
さて、そんなこんなで、節電強化月間を過ごした。
結果がこれだ。
結論から言うと、46kwh。1129円。
目標としていた、1000円切りはできず。
しかし1ヶ月に46kwhというのは、かなり節電できたことは間違いない。
だいたいの目安だが、月に100kwh以下ならオフグリッド可能な数字だと僕は見ている。
しかし、電気料金のこの紙。よく見るとあれ?と思う事が多い。使用期間が4/17~5/20とある。よりによって今月は34日の電気料金じゃないか。これって節電チャレンジの月にはなんとなく残念だ。毎月きちんと決まった検診日ではないみたい。
しかし、さらにおかしな点は再エネ促進賦課金というやつだ。これが135円取られている。
今月の電気料金からこの再エネ賦課金とやらを引くと、994円やんけ!
純粋な電気料金で考えると、税込みで994円。目標としていた千円切りが達成できていたことになる。
なんだ、この再エネ賦課金って。
正式は
「再生可能エネルギー発電促進賦課金」
という長ったらしい名前だ。
みなさんよろしくね。
簡単に言うと、太陽光発電の買い取りにかかるお金を我々の普段の電気代から徴収している、そういうお金だ。
135円なら安いじゃないの?って思わないように。
これはまあ言ったら累進課税だ。
電気を使えば使うほど、この再エネ賦課金もたくさんとられている。
最初の15kwhまでが44円で、それ以降1kwh増えるごとに2円95銭ずつとられるようだ。
100kwh使う家庭なら約300円。
330kwh使う家庭なら約1000円か。
そう考えると、安くはないな。
というか、そもそも、電力会社は、お金がかかればかかるほどその経費を電気料金に上乗せできる「総括原価法式」だ。電力会社で使う文房具やパソコンなどはもとより、電力会社の社員用のスポーツジムや優待施設などの不動産も、動かない原発の使用済み核燃料も、全ての経費の3%を電気料金に上乗せできる。絶対に儲かる仕組みが出来上がっている。それなのに、さらに太陽光発電でかかるお金を消費者から取るなんて、恐るべきバカげたシステムだ。
この一点だけとっても、やけくそでも電力会社と手を切って早晩オフグリッド化を実現したくなる。
ああ、なんか書いてて吐き気がしてきた。
まあ、ともかく、今回のチャレンジは、後味の悪い結果になってしまったが、月に46kwhで暮らせる、という事実が分かっただけでも収穫があった。
我が家の白ネコのミケリアも、拳を高く突き上げて、怒りを表明しながら寝ている。
オフグリッドへの挑戦はまだまだ続くのだ。