祖父が遺した手斧と楔
93歳で亡くなった祖父の遺品のなかに、錆びた小振りの斧と、叩かれ過ぎて小さく縮んだ楔が数本あった。手斧で小さな薪を作り、魚を焼いたり暖をとったりしていたようだ。
しばらくは、ふーんそんなものを使っていたのかーっといた感じで見ていただけだったが、薪ストーブ導入が決まり、実際に自分が薪を作ることになったとき、まずこの斧と楔のことを思い出して、使ってみることにした。
ちょっとこれでは大きさ分かりにくいけど、だいたい30㎝ぐらいの長さ。
左にあるのはオール鉄製の鉈(なた)。
かなり長い期間使われていなかったらしく、全面が錆でおおわれ、とてもじゃないが抜群の切れ味など望めないように思えた。しかし、ものは試しと、小さめの玉に「えいや」とばかり振り下ろしてみた。
案の定、ポコン、という情けない音をたてて、斧が弾かれた。
しかも、斧頭がゆるくなっているみたいで、すぐにでも柄から外れそう。
無邪気にこのまま使っていたら、あっという間に壊してしまいそうだ。とりあえずいつかピカピカに研ぎ直して、活躍する日が来るまで、道具小屋に保管しておこう。