薪ストーブクロニクル

食とエネルギーの自給を目指して

薪ストーブ中毒者の中毒症状<レベル4~5>

前回は、薪ストーブや「火のある暮らし」への漠然とした憧れから始まる 薪ストーブ中毒がどのような症状を伴って進行していくかを見てきた。

今回はその薪ストーブ中毒が重篤化していく過程を見ていこう。

なお、僕自身は現在ギリギリレベル3に踏みとどまっているという自己分析をしているので(笑)、ここから先は様々な先輩諸氏の体験談やブログを参考に、想像で書かせていただくことを始めにお断りしておきたい。

 

では、中毒レベル4からはじめよう。

 

中毒レベル4

「あとに引けない大型機材を購入」

 薪ストーブは家に導入され、すでに何シーズンか過ごしているかもしれない。もしくは導入されたばかり、ビギナーズハイの状態で一気に症状が進んでここまでたどり着いてしまった人もいることだろう。何種類かの薪割り斧や焚き付けが作れる手斧、過不足のない排気量のチェーンソー、そして薪ストーブを焚くのに必要な一通りのアイテムを揃え、順風満帆な薪ストーブライフを送っている。‥はずだ。これで充分。これ以上、症状が悪化することなど、考えられない。

 

しかし、しかしだ。薪ストーブ中毒の本当恐ろしさはここから始まると言っても過言ではないのだ。

斧で薪割りは楽しい。チェーンソーも充分玉切りに適した大きさだ。そして、原木の運搬には自家用車の座席を倒したり、軽トラを借りたりしてうまくやりくりできている。

それなのに、なぜか欲しくなる、①薪割り機、②大型チェーンソー、そして③軽トラ。

 

①小型の電動薪割り機から始まり、最後はエンジン式の巨大な薪割り機「ティンバーウルフ」みたいなものにまで触手が伸びていく。なんとこの薪割り機、ホンダのエンジンまで搭載して、精密工学的技術の粋を集約した、究極の薪割り機だそうだ。
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↑薪ストーバー垂涎?のティンバーウルフ社製薪割り機

 

②スチールやハスクバーナの素晴らしいチェーンソーを所有しているにも関わらず、排気量50cc、バーサイズ45㎝のプロ向けチェーンソーが欲しくなる。そんな高性能のチェーンソーで一体何を切るというのかわからないが、林業従事者でさえ羨ましがる、そんなチェーンソーが欲しくなって、買ってしまうのである。だって、いつどこで巨木を切り倒してくれと言われないとも限らないじゃないか(笑)。

 

③そして、最後は原木や玉、薪の運搬専用の軽トラに手を出してしまう。多くの場合、自家用車とは別にもう1台軽トラを取得することが多く、完全に薪ストーブのための買い物である。ここまでくると、いかに薪購入がランニングコストが高いとはいえ、コストに見合う成果をあげるにはかなりの努力と持続力が必要となってくる。

 

レベル3と4を隔てる境目は、ここまで揃えてしまうと「ちょっとした趣味だったんです」ということでさらっと終われない、ということだ。巨大な薪割り機や使わない軽トラをガレージに置いておきながら、石油ストーブで部屋を温めていた日には、気まずさが家庭全体を覆い尽くすこと必至だからである。

 

とはいえ、ほとんどの薪ストーバーはこのレベル4にとどまって幸せに薪ストーブのある暮らしを続けることになるだろう。ここまでくると基本的には、毎年薪を作って冬に焚く、その繰り返しのなかで、薪ストーブがだんだん日常に溶け込んでいくのだから。コストはかかるだろう。たまには「そんな高いものを買って」と奥さんに嫌みのひとつも言われるかもしれない。しかし、薪ストーブの暖かさはいつだって本物だ。ファイヤーサイドのポールキャスナー氏も、「薪ストーブの火にはイミテーションにはない本物の喜びがあります」と書いているじゃないか。だから、何も間違っちゃいない。レベル3で止まっても、レベル4まで来てしまっても、どちらにせよハッピーなのだ。

そう、この中毒レベル4が薪ストーブライフの最終到達点のはず‥。

 

なのだか、もちろんまだ続きがある。 

更なる高みを目指す孤高の薪ストーバーたちが向かう山の頂、それが中毒レベル5だ。

 

中毒レベル5

「薪ストーブをなりわいとする」

いかに高価な薪ストーブグッズや薪割りグッズを揃えたとしても、ほとんどの薪ストーブユーザーにとって、薪ストーブは趣味の世界である。普段はネクタイをしめて会社で別の仕事をする勤め人や、自営業であっても薪ストーブとは関係ないそれまでの仕事を続けるのが当たり前だろう。

どのような世界にも趣味で始めたものの、好きが高じて、その趣味を仕事にしてしまう強者がいるものだが、薪ストーブの世界でも例外ではない。薪ストーブ中毒の最終到達点、レベル5はこの薪ストーブを仕事にしてしまった人々のことを指すのだ。勝手にそんな風に決めてしまって本当にごめんなさい‥。

そして、普段ブログを閲覧させてもらっている薪ストーブの先輩たちの多くが、このレベル5に属している。

彼らの語る言葉には、さりげない表現の中にも、職業者としてのプライドや経験に裏打ちされた重みのようなものを感じる。

軽々しく、どのストーブはよくてどのストーブは悪い、とか、想像できっとこうに違いない、というような無責任な事を書かないように注意を払っていることがよくわかる。

経験でも実績でもかなわないが、このブログではむしろ薪ストーブのファンタジーあふれる側面、プロが無責任に語れない妄想の世界を切り開いていきたいと考えている。

そしてその先に、薪ストーブにとどまらない、食とエネルギーを自給して暮らす、次世代の生活モデルを提示できれば、と壮大な夢は膨らむばかりである。

 

さて、ここまでレベル1「漠然とした憧れ」からレベル5「薪ストーブをなりわいとする」まで、実に多くの喜びと葛藤が入り乱れた薪ストーブを巡る悲喜こもごもを見てきた。あなたは一体今どのレベルに達しているだろうか。

薪ストーブが気になるレベル?自分の薪棚に見とれて、目が離せなくなるレベル?それとも脱サラして薪ストーブ屋さんを考えるレベルだろうか?