薪ストーブの苦情について考える
インターネットで薪ストーブの苦情について検索すると、導入をためらうような話がたくさん出てくる。
やはり、せっかく喜び勇んで薪ストーブを設置したのに、ご近所さんの匿名の手紙がポストに入っていたり、迷惑だからやめてほしいと暗に示されたりすると、さすがに気持ちよく焚くことはできない。
もちろん、人間関係を全て無視して、焚き続けても、法律的は問題がないはずだが、そこまでメンタルの強い人もそんなにはいないだろう。
さて、どうしたものか‥‥。
実は、ごく普通の住宅地(住宅密集地)の平屋で薪ストーブの導入を検討したことがあった。結局その話は無しになったのだが、住宅地だけに薪ストーブへの苦情を言われる可能性が高かったので、どうすれば住宅密集地で心穏やかに薪ストーブが焚けるか真剣に考えていた。
というか、どのように薪ストーブを設置しても、住宅地なら心穏やかではないのだが、そのような場所で薪ストーブを設置するなら、このような方法があるのでは、というポイントをいくつかご紹介する。
①夜だけしか焚かない
そもそも薪ストーブの苦情=煙突からの煙だと言っても過言ではない。煙突から煙が出ていなければ、文句を言えない。もちろん木の燃える臭いだって時には苦情の原因になるだろうが、それも煙突からの煙と合わせ技一本、という感じだろう。
視覚的な煙突からの煙には、非常にネガティブなイメージを持たれているのだ。
ならば、煙が見えない夜にだけ焚いてみてはどうか。
夜なら、洗濯物に臭いがつくこともなく、煙も真っ暗で見えないから、あまり気にしない人が多いはずだ。
夜しか焚けないのは寂しい気もするが、焚けなくなるよりはましだろう。
②煙突を角トップにする
意外と盲点だが、煙突を角トップにすると、てきめんに煙が目立たなくなる。円柱の黒い煙突がニュッと屋根や壁から出ていると、それだけで異様な雰囲気、普通ではない雰囲気を醸し出すが、角トップはオシャレな洋風の家という感じで、薪ストーブを連想しにくい。しかも、四角い囲いをかぶせるので、煙が出ているとは気づきにくいので、ご近所さんがあまり気にしない、というのだ。
また、角トップは雨じまいという点でも、優秀なのだそうだ。
ひとつ問題があるとすれば、価格が10万円くらい高くなるということか。また、和風の瓦屋根など、住宅によっては角トップのいかつい外観がそぐわない場合もありそうだ。
③素早く立ち上がる薪ストーブにする
そもそも、最近の高性能な薪ストーブは、巡航運転になればほとんど煙が出ないものがほとんどだ。だから、煙がモクモク出るのは基本的に焚き付けの時だけと、考えて差し支えないだろう。
ならば、立ち上がりのスピードが最も早い薪ストーブを選べば、あっという間に巡航運転に、達してほとんど煙が出なだろう。
最も立ち上がりの早い薪ストーブがどの機種か、というのは諸説あるが、色々調べてみてもし自分ならこれがよさそうだ、というのは見つかった。
実際、もし住宅地で導入するならこの機種にしていただろう。それがヒタインスパイアのH45という機種だ。
少し前に薪ストーブのベスト30ランキングという無茶な記事を書いたときは、このストーブは堂々の3位にランクインしたのだか、圧倒的に立ち上がりが早そうだというのもその理由のひとつだ。
ちなみにその時の記事がこちら。
おすすめ薪ストーブメーカーランキングベスト30その③~いよいよトップ10の発表!~ - 薪ストーブクロニクル
炉内の気密性が極めて高い、その構造上の理由で立ち上がりが早いみたいだ。
もちろん焚き比べて実際に比較してみたわけではなく、あくまで調べてみただけだが、デザインも含めて大変気に入ったので、住宅地ならこの機種にしていただろう。
別にヒタインスパイアでなければならない理由など何もないので、立ち上がりが早い薪ストーブならどんなものでもよいのだろう。
④焚き付け材を工夫する
「俺は石油由来の着火材なんて使わないぜ。自然のものや身の回りにあるものだけで焚き付ける主義だぜ。新聞紙にマッチで火をつけて、そこから細い枝や乾いた松葉、柑橘の皮なども使いつつ、次第に大きな枝、小割り、と火を育てていき、やがてそれが巨大な焔となって‥」
このブログもエネルギーの自給を目指しているので、当然石油エネルギーの消費を少なくするため着火材を使わずに焚き付けようと考えている(もちろん使うかどうかは人それぞれだ)。
しかし、住宅地で薪ストーブを使いたいということになると事情が変わってくる。
まず新聞紙は大変燃えやすいが、煙もたくさん発生させるので住宅地では使わない方がよさそうだ。また、③でも見た通り、焚き付けている間に煙突から煙が一番モクモクと出るので、なるべくパパッと焚き付けて一刻も早く巡航運転に入りたい。
そうなると優秀な着火材を使って一気に火をつける方が苦情が来る可能性を減らすことができる。例えばファイヤーサイドのドラゴン着火材とかは、キューブ状になっていて15分間燃え続けるので早く確実に焚き付ける事ができる。ややお高いが、苦情を減らせることを考えれば、迷う理由はないはずだ。
焚き付け材もけちらずにたっぷり使って、最速で巡航運転に入れるように工夫するのがいいだろう。
⑤ご近所さんとのコミュニケーション
①~④で煙や臭いを減らす工夫をした上で、最後はやはりご近所さんに直接話をして、コミュニケーションを取るということになる。
なんせ「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」ということわざにもある通り、気に入らない人のやっている事は、ささいな事でも気に入らないものだ。まして、煙突から煙が出ているのを見たり、また最も極端に言えば、屋根から煙突が出ているのを見ただけで不快な気分になる隣人もいるかもしれない。
薪ストーブに対する誤解を解くと同時に、「まああの人のしてることならいいか」と思ってもらえるくらい、ご近所さんと仲良くなれるようにコミュニケーション力を磨く事が最後には必要だ。
話をしたりするのが面倒だと思ってしまうことが一番の大敵だろう。
そんなことに注意しながら、なんとか住宅密集地で薪ストーブを設置してやろうと画策していたので、参考にしていただければ、とても嬉しい。