今日は総集編。
知り合いの喫茶店の入り口に長期間放置されていた超ウルトラスーパー乾燥しているカラカラの木を貰って薪割りをするお話だ。
1.喫茶店で木材をもらう
お蕎麦屋さんから針葉樹もらったり、そんなんばっかりで恐縮だが、また別の知り合いの喫茶店に薪ストーブユーザーがいる。
そこでは冬の営業のときに薪ストーブを焚いて温かい店内で珈琲が飲めるのだが、何故かいつまで経っても割られない木が店先に置かれていた。長さ80㎝。かなり硬そうな広葉樹だ。
しかし丸い原木ではなく、半割りだったり1/3に割ってあったり、とにかく大きく割られている。
いくら割られているとはいえ、80㎝の長さの太い木を薪とは呼べないだろうし、そもそもそんなに長い薪が入る薪ストーブは今のところ聞いたことがない。
つまり、この巨大な半割りはまだチェーンソーで半分にカットした上で、さらに数回斧で割らないと、ストーブに入るサイズにならないくらい巨大な木なのだ。
↑長さ80㎝。こうやってチェーンソーで半分に切るとちょうどいい長さに。
それが30~40本ほど店先に置かれている。しかもいつまで経っても割られる気配がない。
心配になって店の方に聞いてみると、仕事がいそがしくて、チェーンソーで切ったり薪割りをしている余裕が一切ないまま気がついたら何年か経過していたそうだ。
ここで一般の人なら、そうですか、それは大変ですね、となるのだろうが、世の中の木が全て薪に見えている僕は、厚かましくも、
「僕がもらって切ってもいいですか?」
と、聞いていた。
いや、確かに薪欲しさ、というのもあるが、このまま木が薪になることも叶わず朽ちていくのをみるのは辛すぎる。という気持ちも強くあった。
すると、二つ返事でオッケーをいただいた。どうも仕事が忙しすぎて切ったり割ったりする時間がなかったらしい。
2.もらった木材を割っていく
その喫茶店でもらった、ちょっと変わった荷姿の原木、というか木。
正確に言うともらった木は半割りばかりではない。
4等分、いや6等分になっているものもあった。
この画像では分かりにくいが、長さはだいたい80㎝。半分にカットすればちょうど40㎝の薪になるという、至れり尽くせりな木だ。しかも、どうやって割ったのか、半割りや、4等分、6等分、といった細かく割られた物がある。画像で見えるだろうか。
しかし、こんな長い木をどうやって半割にしたんだろう?薪割り機ならできるんかい?
この木、この状態のまま一年以上放置されたらしく、すでに中までほぼ乾燥している。
実際に割った木の内部の含水率を測ると、おおむね15~16%という理想的な数字になっていた。
つまり、割った端からいますぐにでも焚ける薪になっていくということだ。
これはちょっとしたフィーバーではないか!
惜しいのは、すぐに焚けたとしても、肝心の薪ストーブはまだないということ。
なんといってもまだ薪ストーブ導入前の話(薪ストーブ前史)なのだ。
乾燥の必要がないという安心感も手伝ってしばらく積み上げていたが、重い腰をあげて、チェーンソーを手にした。
カラカラに乾いているので、チェーンソーを入れると、ものすごくささくれた断面になって切れていく。
あれ、切りにくいな。
あんまり気持ちのいい切れ方ではない。堅いから、チェーンソーの刃もすぐに磨耗する。毎日目立てる。
とにかく暇を見つけてはコツコツ玉切りしたのだった。
瑞々しさゼロ。半割りにしたままカラカラに乾燥させられた広葉樹をチェーンソーで40㎝の長さにカットして、割っていく。使用する斧はもちろん、フィスカース社のX25だ。ガンガン割っていく、といいたいところだが、これがなかなか気持ちよく割れてくれない。
乾いてヒビのはいったラインでしか割れないので、画板の様な四角くくて薄っぺらの薪が次々出来上がっていく。これはいかん。こんな画板(がばん)みたいな薪ではカッコ悪い!よく燃えそうだけどカッコ悪い。
画板薪①
画板薪②
このまま、画用紙を置いて写生に出かけられそうじゃないか。
まあ、そんな画板薪までしなくても、ある程度細くなると、カラカラに乾いたものでも繊維に逆らって割ることができたので、おおよそ薪らしい姿に割り終えることができた。
↑これはまだもらった木を半分くらい割ったときに撮ったもの。これで1立米くらいはありそう。なかなか全部割るところまではたどりつけないのだ。
こんな乾いた焚きやすい木をもらえてすごく幸運でうれしい、のだが、水分を含んだ、いかにも薪割りをしている、という気持ちが味わえる木を割りたいという欲が出てきた。斬り倒したばかりの広葉樹は、パッカーンと気持ちよく割れてくれるらしい。
そんなこんなで時は流れ・・・
3.やっと全部割り終えた
正月に知り合いの喫茶店でいただいて、ボチボチ割っていた80㎝のロング玉?半割り?の木材。
2月までに、チェーンソーで全て40㎝以内の長さに切り揃えておいたのだが、そこからなかなか全部を割り終えることができなかった。なんといっても数が多い。そして、カラカラに乾燥していて、めっちゃ手強い。
しかし、そろそろ春が近づいてきた。ということは、薪割りばっかりしている場合じゃなくなってしまう。どういう事かと言うと、夏野菜の作付が始まる季節なのだ。
トマトやキューリ、ナスにオクラ、ピーマンや唐辛子など、夏の暑さを乗りきるための野菜を作るため、土起こしをそろそろ始めなければいけない。
もうそろそろ割り終えねば!
ということで割って輪って割りまくった。
そして全部割ったら、裏の薪棚がこうなった。薪棚といってもただ積んだだけだが(汗)。
いやー、多くても全部で1.5立米くらいのものなんですけどね。それでもこれだけの木をポンといただけるなんて、なんて素敵なお年玉だったんだろうと、つくづく思った。
この薪は割った瞬間からすでに含水率が20%を切っているカラカラの薪なので、次の冬の即戦力となってくれるはずだ。
よし来い!
早く来い!
次の冬!!
4.崩れそうになったのでゲルマン民族ばりに大移動。
知り合いの喫茶店でもらってきた木をせっせと薪にして薪置き場として使っている離れのの裏に置いておいた。
こんな感じでびっしり。1.5立米~2立米くらいあるだろうか。
その薪はおそらく楢などの広葉樹だったので、かなりの重量になったのだが、その側面を、薄い板と排水のプラスチックの管だけで支えていた。
強度が心配だなぁと思っていたら、案の定、薄い板がいつのまにか取れていて、プラスチックの管だけでその薪の側面を支えている状態になっていた。これでは管が壊れるのは時間の問題だ。
いかに仮設の薪棚とはいえ、もう少しきちんと作らないとダメだ。と深く反省。
というわけで、この喫茶店薪は、別の場所に置き場所を考える必要が出てきた。
さて、ちょうど薪場の左側にいいスペースがあるのを思い出した。
左側に無造作に積んでいた桜の薪を中央の縦長の棚に瞬間移動させたので薪ストーブ前史43 桜の薪の瞬間移動 - 薪ストーブクロニクル、左側がぽっかり空いている。
そこに置こう。
えんやこら薪をコンテナに摘めては運ぶ、をひたすら繰り返す。
あたかも、ピラミッド建設の時に、駆り出されたエジプトの民が巨石を運ばされた使役労働の様に何往復も何往復もひたすら薪はこはび。
関係ないけど、ピラミッド建設の時の労働の報酬のひとつがモロヘイヤだったそうな。野菜の現物支給とな。
そうそう、モロヘイヤと言えば、うちの畑にも植わっているぞ。
早く大きくなってほしい。
一番右がモロヘイヤ。
さてそんなこんなで運び終えた喫茶店薪。
薪場はこうなった。
すでに充分乾いているが、陽当たりがいいのでさらに乾燥が進みそうだ。
とにかく、これでひと安心。
※おまけ
これが画板薪だ!
乾燥が進みすぎた玉を薪割りするとき、繊維に沿ってしか割れない頑固な玉になることがよくある。
細目に割ってから縦の線に割りを入れて普通の薪の形に整えるしかないのだが、コントロールをミスるとこんな薄い薪ができあがる。
こう見ると普通の木に見えるが、実は、
こんなに薄い。
角度を変えてこんな感じ。
いやはや、画用紙をのせて湖や寺に写生に行った小学校時代を思い出させるので、画板薪と名付けた。
薪ストーブの傍らに置いてあっても、全くかっこよくない。いや、かなりカッコ悪い。
どうでもいい話のダメ押しでした。