薪ストーブのシーズンとしては、いわゆるオフシーズンにあたる8月。ここまでの薪集めの記録を振り返る総集編第4段だ。
一番苦労して集めた(というより2017年8月現在でまだ集めて割っている最中)極太乾燥玉のお話だ。
節だらけで思うように割れず、楔の使い方も悪くて身体を痛めたり、重すぎて車の荷台に持ち上がらなかったり・・・。
ここまでの薪集めの歴史のなかで、最もタフで最もデンジャラスな極太乾燥玉編。
面白く読んでもらえると嬉しいのだが。
1.極太乾燥玉をもらう
荷台まで持ち上げるのも困難なほどの大きさと重さの極太の玉がゴロゴロと転がっていた。樹種は不明だが、ずっしり重い広葉樹だ。
表面はどす黒く色あせ、物によってはいやらしい節や二股があり、しかも非常に長い間地面に置かれて雨ざらしになった、やや訳ありの玉だが、工務店の社長は、全部持っていってもいいぞ、と気前のいいことを言ってくださった。
桜の原木をもらったり、薪ストーブ前史⑭桜の原木をもらう - 薪ストーブクロニクル
キノコの生えた薪をもらったり、薪ストーブ前史⑮キノコ薪と薪棚の成長 - 薪ストーブクロニクル
ずいぶんと初めての薪集めをエキサイティングに盛り上げてくださっている社長に今回も甘えて、もらって帰ることにした。
とはいえ、今回の原木はまず重すぎて車に載せられない。直径が50㎝で、長さが40㎝という極太サイズ、おそらく60キロぐらいの重さがあるんじゃなかろうか?
しかも玉切り後、長期間放置されたためかなり硬くわりにくくなっている。
どうすればいいか。断腸の思いで、こいつらを短い小割り薪を作ることにする。で、どうしたかというと、長さ20㎝ほどにさらにチェーンソーで短く切り、やっとの思いで車の荷台まで持ち上げることができた。
巨木としかいいようのないこの迫力。この数ぐらいが限界かもしれない。そもそもこれ以上上には持ち上げられない‥
以前運んだけやきの細い原木と比べればさらにその迫力がわかる。
いやー、このけやきが細すぎるだけかー(汗)。
2.極太乾燥玉を割る
そんなこんなで、例によって薪場まで運び込んだ。さて、しかしこの極太の玉切り。割れるのだろうか?
極太乾燥玉を運び込んだ。とはいえ、全部ではない。3往復ぐらいしたが、まだあと半分ぐらい残っている。うまく割っていけたら、いつか全部運び込むつもりだが、とりあえず割る。まず割る。
薪割台に玉をセットする。
これは相当割りごたえがありそうだ。早速フィスカースを手に気持ちを整える。
さてどうやって割ってやろうか。たまらなくワクワクする瞬間だ。しかしこの玉、よく見ると薪割台よりもデカイ。本当に割れるのだろうか。
まずど真ん中に思い切りヘッドスピードを乗せて全力で叩き込んだ。
難なく真っ二つ。あれ、余裕で割れるなぁ‥
そしてさらにもう一太刀。
これはいける。
その後、短いこの薪の長さに合わせた太さになるまで根気よく割り続ける。
このひと玉でできた薪の量が以下の通り。
分かりにくいかな?反対から見るとこんな感じ。
かなり細かく割ったので、焚き付けはじめの小割りとして活用したいと思っている。どうなるかな?
3.薪ドミノ
極太乾燥玉を割りながら、ちょっと遊んでみた。
これはもらってきた玉の中でも最も直径のでかいものだ。心してかかることにした。
とりあえずど真ん中に全力で打ち込む。
実に爽快。気持ちよく割れる薪割りは、本当に精神衛生上よいと思う。
さてその玉をまずこんな感じで
四等分。
そしてさらに
八等分。
さらにさらに
十六等分。
あ、手がすべった‥
並べた薪がドミノ倒しのように倒れていってしまった。こんな遊び方もできるんですね。
その後、精力的に割りまくり、この玉ひとつでこれだけ薪ができた。
薪割りって楽しいですなぁ。
4.さらにでかい玉を運ぶ
例の木材置き場(捨て場?)に、あまりにも大きすぎて手をつけられなかった木がいくつかあった。あまりにもでかい上に表面は長年雨ざらしで放置されたため黒々と変色し、物によっては土がべったりこびりついて取ろうとしてもとれないし、キノコがびっしり生えているものも散見する。薪ストーブ前史23 極太乾燥玉を運ぶ - 薪ストーブクロニクル
しかし、比較的運びやすいものはあらかた運んでしまい、あとは持ち上げられないくらい重い玉と、あまりにも朽ち果てた玉が残っていた。
究極の選択だ。しかし、まあ大きいだけなら、チェーンソーでカットすればなんとかなるんじゃないかと思い、切ってみた。
一応カットできた。しかしこれ、でかいよね。でかすぎる。チェーンソーのバーが35㎝なので、直径50㎝超えの大物だ。右側の玉なんて、楕円形だけど長い方の径は70㎝ぐらいあるんじゃなかろうか?チェーンソーがおもちゃみたいに見えるぜ。
とりあえず長さ30㎝前後に切って、表面の汚いところは熟成肉みたいにトリミングして持って帰ることにした。
ところが、これが重いのなんの。車の荷台まで上がらねーー(汗)。
大体の体積から重さをざっと計算すると、約45~50キロ。うーん、大人の男が持てない重さじゃないのかもしれないけど、でも日常生活で持つ荷物の重さじゃないぞ。仕事で米袋を運ぶときでさえ、今は30kgの袋に入れて出荷するのが基本だ。まあ、でも持ち上げて、下に敷いた毛布を引きずりながら荷台に収めた。
でかいねー。これ、本当に割れるんだろうか‥‥
5.フィスカースx25 vs でかすぎる玉
でかすぎる玉と朽ち果てた玉。どちらを選ぶか、悩んだ末に「でかすぎる玉」をチョイスして、薪場まで運び入れた。いや、運び入れたというより、転がし入れた、というべきかな。重すぎて運べなかったので、車からゴロンと落として、そのままギャートルズの石のお金のようにゴロゴロ転がしていった。
せっかくなので、過去最大の玉の大きさを測ってみると、きっちり直径50㎝だった。
重すぎて薪割り台まで持ち上げられない、というか持上げる気にならないので、地べたで薪割り。斧のことを考えるとあんまり地べた割りはしない方がいいが、この場合は仕方がない。
とりあえず、無理とは思いつつも、ど真ん中を一撃。ぽよーん、と跳ね返された。全く手応えなし。いままでは、ここで真ん中を割る事にこだわって楔を登場させていたのだが、右肩を手痛く負傷してからは楔恐怖症になってしまい、別の方法を考えることにした。
まず、一番に思いつくのはチェーンソーで縦切りだ。しかし、木屑が出まくるうえに、すごく安定が悪くて危険なので、これは避けたい。
もうひとつ思いつくのは、もっと強力な斧を調達することだ。お気に入りの斧、フィスカースから最終兵器みたいに呼ばれているIsoCoreハンマー斧がそれだ。まあ、いつか使ってみたいが、現状ではここにない。
仕方ないのでフィスカースのX25でなんとか割る方法を考える。この玉の弱いところはないのか?
色々な場所に振り下ろす。跳ね返らずに斧が刺さる場所は脈がある。そこを執拗に打ち付けると、とりあえず小さく割れた。
さらに別の場所を探す。またヒット!
そんな風に、端から少しずつ切り崩していくと、節がひどくなければどんな玉でも割れる気がする。真ん中ではなく端を攻める。「端(橋)ではなく真ん中を渡ればいいんですよ~」とトンチをきかせた一休さんの逆をいくわけだ。
うりゃ。
とりゃ。
ここまで割れば、もうだいぶ弱ってきているだろう。とどめの一撃を振り下ろす。
はい真っ二つ。
見事にバラバラにできました。
あとはこれを薪の形に整えて積むだけ。
春ともなれば、薪割りはもう暑くて仕方ない。
4月だというのに、割り終えたときにはTシャツ一枚になっていた。