薪ストーブ前史・総集編⑦「ネスターマーティンS33登場」
1.ネスターマーティンS33登場
ついに薪ストーブが導入された。
機種はベルギーの薪ストーブメーカー、ネスターマーティンのS33だ。
自分で作った薪ストーブランキングでは2位だった機種だ。
おすすめ薪ストーブメーカーランキングベスト30その③~いよいよトップ10の発表!~ - 薪ストーブクロニクル
このランキングはどの薪ストーブが優れているか、というランキングではなくて、自分の欲しい順に並べたとも言えるので、それなら1位の薪ストーブ(1位はバーモントキャスティングのアンコール)を導入すればいいじゃないか、と突っ込まれそうだが、色々考えてこの機種になった。
素朴な無垢の木の家にピッタリの、シンプルな外観が気に入っている。
サイズは小さい方のS33だ。
人気があるのはS43の方だが、家自体が平屋で26坪ほどの小さな家なので、ストーブも小さい方で十分なはずだ。
実際の暖房性能や使ってみた感想については、ポカポカの春真っ盛りに導入されたこともあり、今はお伝えできないが、シーズンが訪れたらまた書いてみたい。
B-topというタイプをチョイスした。Bトップとは、煙突の背面出し(バックトップ)のことだ。
天板が有効に使える上に、もともと煙突が出ていた位置にクッキングプレートをつけているので、この丸い場所では高温調理が可能だ。しかも、このクッキングトップの熱が暖房性能を少し高めてくれるらしい。
ありがたいことだ。
いいこと尽くしのB-topだが、欠点もあって、煙突がストレートではなくなってしまう。
まっすぐ立ち上げた煙突だが、炉内から後ろに煙や排熱が出ていくので、一度煙突が曲がっていることになるのだ。
つまりその分少しだけ抵抗ができてしまうというわけだ。
まあ、微々たる欠点だが。
炉台から煙突の先まで含めた様子はこんな感じだ。右側の炉壁は扉の関係で少し面積が狭くなってしまった。熱養生のために、ここにだけ遮熱板を置く予定だ。
まあとにかくこれでついに薪ストーブライフが幕を開けることになる。
実際にバリバリ使っていくのは、半年先の秋以降になるので、まだ嬉しさ半分、実感のなさ半分、といったところだが‥。
2.慣らし焚き
春真っ盛り。
日中の気温は軽く20℃を超えている。
はっきり言って暖房が必要な季節は終わってしまっている。
しかし、設置されたばかりの薪ストーブを前にして、秋まで待つというのはさすがに据え膳食わぬはなんとやら。
とりあえず慣らし焚きをしてみることにした。
新聞紙を下に置いて、建築端材を細かくした焚き付けを積み重ねていって、着火!
おおー、燃えた燃えた。
空気の調節など、少し慣れが必要だと思う。扉も少し開けておいて、空気をどんどん送り込まないと、焚き付けはしにくい。しかし、程なく、ほんのり表面が温まり始めた。
とりあえず新品の鋳物の薪ストーブなので、薪をあまり追加せずに、そのまま自然に鎮火させた。
なにしろ、全然寒くないのだ。これ以上部屋を温める必然性はない。
そんなわけで薪ストーブの本領を発揮する前に終了。
ストーブはしっかり燃えたと思うけれど、心の中は不完全燃焼。
慣らし焚きでは、満足できない!
はやく寒くならないかなー。
3.クッキングトップでお湯を沸かす
5月にしては暑すぎる、とある週末。
外の気温は7月上旬並み。地域によっては30℃を超えていた所もあったみたい。
引っ越し作業の合間、ちょっとコーヒーが飲みたくなった。
お湯を沸かす方法は以下の3つ。
①野外ストーブで沸かす。
②というかそもそもガスコンロが使える。
③にもかかわらず薪ストーブを焚く。
普通の人は②だ。せいぜい①。
③を選ぶなんて、尋常ではないくらい効率が悪く、無駄な作業だ。
部屋を温めるついでにお湯も沸かす、というなら話も分かるが、7月並みの陽気の昼間に、ただお湯を沸かすためだけに薪ストーブを焚くなんて、ちょっと度を越していると自分でも分かる。
しかし、焚いてみた。
ネスターマーティンのB-topのクッキングトップの実力を試してみたかったのだ。
というわけで焚き付けスタート。
外が暑すぎて、全く温度差が生まれず、むしろ部屋の中より外の方が暑いので、煙突に対流が起きない。
全然上昇気流が起きないので、さっぱり燃えていかない。
焚き付け材を大量に使って、意地で焚き付けに成功。
ストーブが温まり始めると、割りと早くやかんがシュッシュシュッシュ沸きだした。
コーヒーが淹れて、やかんを保温用の天板に移す。
しばらくしておかわりが飲みたくなったので、またやかんをクッキングトップに戻すと、その瞬間にまた、シュッシュシュッシュと沸き始めた。
おお、これはすごい。噂以上に使い勝手がいいぞ、ネスターマーティンB-top。
とはいえ、こんな暑い日に薪ストーブを焚くなんて、こんなアホなことをするのは、ビギナーズハイになっている今年だけだろう。
4.初めて夜に焚いてみる
引っ越しの片付けが遅くなって、気がついたら日が暮れている。5月とはいえ夜には気温が下がってくるので、ちょっと軽く焚いてみた。
少し外気温が低めなので、煙突の引きは少しましだ。焚き付け材をガンガンに使って一気にストーブを暖める。
この画像では全然雰囲気が伝わらないと思うけど、薪ストーブはやはり夜の方が趣がある。
炎の美しさが全然違う。
夜に焚かれた薪ストーブを見るのは初めての体験だか、冬の夜、部屋をポカポカ暖めてくれているであろう薪ストーブの、美しい炎がとても楽しみになった。
少しだけ、炎を堪能して、その日は自然消火、そしておもくそ後ろ髪を引かれながら公団アパートに帰った。
そろそろ、春の火遊びも終わりだ。
寒くなってくる薪ストーブファーストシーズンに向けて、もっと薪を集めたり、薪だなをいくつか作る計画がある。
来るべきはじめの冬に薪不足に陥らないようにがんばらねば。
5.猫とネスターマーティン
6月なのにやたらと寒い夜。
子猫たちのために、という言い訳を武器に薪ストーブをつける。
早速火の周辺で遊び始めるミケリアとごっすん。
しかし体躯が小さすぎるため、簡単にストーブの下に潜り込んでしまい、危なっかしいことこの上ない。
日が暮れると外気温は13~14℃ぐらいまで下がってくる。ストーブをつけると、室温は離れている場所でも24℃ぐらいまですぐに上昇する。
半袖シャツと短パン、そして素足で過ごしている。
まだ初めての薪ストーブシーズンを迎える前の段階なので、ブログのタイトルにも「薪ストーブ前史」としっかり書いてあるのに、すでにガンガン焚いてしまっている。
例年になく寒い6月が原因だ。
もちろん、本格的なシーズンのスタートには、それなりの区切りをしようと思っている。
今はあくまでも、「ファーストシーズンを前にした準備期間」という位置付けだ。
薪割りをしていてあまり薪棚に置きたくないなぁと思ってしまうスカスカのボケた薪とか、じじむさい形の薪とか、そんなのを練習代わりに使っている。
猫たちはあまり寒くないのか、ストーブ前でじっとしているわけでもなく、あちこち走り回っている。
この二匹の子猫、ミケゴスたちが冬にはどんなポジションをとっているか、今から楽しみだ。
6.最後の試し焚き
6月なのに夜になると寒くなる日が続いた。
子猫たちが風邪を引くといけないので、気温が15℃以下の日はなんやかんやと言い訳しながら、ネスターマーティンs33に火を入れていた。
ぽかぽかの輻射熱に、白猫のミケリアもご満悦だ。
もちろん、本格的なシーズンはまだ経験していない、ずぶのど素人だ。
焚き付けにドキドキ、ストーブの温度をあげるのにドキドキ、薪選びにドキドキ。いい勉強になった。
特に、一回焚くとどれくらい焚き付けが必要なのか、薪はどれくらいのペースで投入されていくのか、部屋の暖まり方はどんなものか、といった、Web上の情報では分からないことを体感することができたのが非常に大きかった。
この経験をふまえて、焚き付けの準備、薪の置場所や導線、などなど初めてのシーズンに向けてすべきことがよりはっきりしてきた。
一番意外だったのは、焚き付けが本当にたくさん必要だということ。
薪がいくらあっても足りないことはなんとなく想像がついたが、巡航運転に達するのに時間がかかる(という噂の)ネスターマーティンは、特にこの焚き付けと小割りの薪がたくさん必要だ。
がんばろう。
ストーブ前にひいた座布団の上で、黒猫のごっすんも爆睡。本当に癒される瞬間だ。
ミケリアとごっすんのためにも、たくさんの薪を用意しよう。寒い季節なんて、あっという間に来てしまうぞ。
薪割りにさらに気合いが入るね。
さて、これでシーズン最後の試し焚きは終了。これから夜でも気温の下がらない暑い日が続くみたいだから、次に焚くのは10月か11月になることだろう。
7.キノコ薪を燃やす
6月のやや肌寒い夜。
ついこの間「シーズン最後の試し焚きはこれで終了だ」とかなんとか言っていたのに、また薪ストーブを焚いている。
白猫のミケリアが何か発見したようだ。
これは何だニャー。
薪から何か生えてるニャー。
匂いを嗅ぐミケリア。
なんだか、食えそうだニャー。
不味そうなキノコだニャー。
これは長期間雨ざらしで放置されて表面にびっしりキノコが生えた薪だ。
キノコといっても生のキノコが生えているのではなく、びっしり生えたキノコがそのまま干し椎茸状態になっているものだ。
つまり、薪だけでなく、キノコまでカラカラに乾いている。
まあ、薪もしっかり乾燥しているのだが、とはいえ、いかんせんかなり古くてボケた薪なので、熱量は大したことなさそうだ。そもそも、キノコに養分を取られたからか、広葉樹なのに結構軽い気がする。
キノコの生えた薪でもちゃんと焚けるのか。
試してみた。
焚き付け材と小割りの薪で、温度を充分に上げた炉の中にキノコ薪を投入する。
さて、どうなるか。
火が回り出すと、キノコも赤々となりだした。
やがて薪全体に火が回る。
キノコも燃える。
しっかり燃える。
ここまで燃えてしまうと、多少ごつごつした普通の薪だ。暖かい。
キノコ薪、全く問題なしだ。
薪を見た目で判断してはいけない、ということか。
8.薪ストーブをきれいにする
5月と6月に2ヶ月だけ、しかもほんのパヤッとだけ練習で(遊びで)焚いたネスターマーティンs33。
少し焚いただけだが、灰や煤はけっこうついてしまい、やや見苦しい姿になってしまったので、軽く拭いてきれいにすることにした。
灰を灰受け皿に落とすための、穴の空いた部品(グレートという)を外して、ふきふきしていると、仔猫達が遊びに来た。
こら、お前ら、来るんぢゃない!
そんなことはお構いなしに、遊んでやがる。
灰受け皿の出口(下)から入って、薪を放り込む上の出口から出てくるのが、彼女たちのトレンドのようだ。
やれやれ。
全部きれいに拭き終わった後でよかった。
疲れたのか、遊び終わったら、スノーピークのローチェアで爆睡するミケリア。
と、ごっすん。
今の季節はいいけどな、冬に同じことをしたら死んじゃうんだからな、お前ら。
やれやれ。
かわいい奴らだ。