一度割った木の木肌は忘れない
街を歩いたり、田舎道を歩いたり、山歩きをしたり、そんなとき、そこに生えている木が気になるようになってきた。
見たこともない木もたくさんあるが、一度まとまった量の原木を薪割りした樹種に関しては、その樹皮が目に焼き付いて、なんという木か分かるようになってきた。
一番よく分かるのが、桜の木だ。
薪割りを始めるまで、花が咲かない木はどれも全く同じものに見えていた。
情けない話だが、そこには針葉樹も広葉樹もなかった。「木」は「木」でしかなかった。
それが今や、木の皮を見て、
お、桜だ
と分かる。
お、杉だ、お、ケヤキだ、お、柿だ
そんな感じだ。
一度割った木の樹皮は忘れない。
木の種類は、その葉や実や花で見分ける方が簡単かもしれないが、薪割りをする人間は樹皮で見分けるようになるのかも。