四月の愚か者②
夜桜が美しい今日この頃。
四月の愚か者について、知っていることを話そう。
四月の愚か者は、そこに住む人たちに、考える暇がないくらいあれこれお金の悩みをもたらした。
四月の愚か者は、みんなにお金がないと暮らしていけない、という常識を植えつけた。
四月の愚か者は、世界はお金で動いているという錯覚を与えた。
四月の愚か者は、まるでミヒャエルエンデの「モモ」に出てくる灰色の紳士たちのように、心ひそかに人々に時間を貯金させた。
心を失う暮らしの中で、人々はだんだん何が悪いか分からなくなってきた。もしくは悪いとはわかっていても、それを是正する暇も方法もなくなっていった。
人々はだんだん考えることをやめていった。
そう、思考停止だ。
人々が思考停止することこそ、四月の愚か者たちが完全犯罪を成就させるための必須条件だった。
思考さえ停止してしまえば、メルトダウンした原発を抱えながら老朽化した原発を動かすことも、公文書を都合よく改竄することも、憲法を改正して堂々と戦争して武器を売ることも、なんだってできる。
政治なんてどうでもいい。そんなことより、お金を稼がないと、
とみんなが思うことがなによりも大事だ。
お金のこと以外は考えても無駄だと人々に思わせることができれば、このゲームは四月の愚か者たちの勝ちだ。
四月の愚か者は一体何をしようとしている?
四月の愚か者はこの国をどこへ連れていこうとしている?
僕たちは、知らずに連れていかれる。
どうして?どこへ?
もちろん、ますますお金がゲームの主役になる、そんな世界に、だ。
食べ物、燃料、電気、ガス
そんなのお金で買うにきまってら
友達、恋人、ペット、趣味
それもお金ですませろ
資格、学歴、仕事、昇進
それはまさに金次第
安全、健康、寿命、幸福
それこそ、金で決まるだろう
おいおい、馬鹿に素直じゃないか。
どこもかしこも嘘ばっかりついて、みんな取り澄まして平気で騙してるってのに。
なんかこの展開、どっかで読んだことがあるな。
平気で嘘ばっかりつかれていても、全然気にせずに暮らすプロールたち。
監視社会で暮らしているのに、監視されていることなど気にもせず、とにかく日々を生きるプロールたち。
日々の雑事やいさかいで忙しいプロールたち。
小説の中でプロールたちはこんな風に書かれている。
「彼らはもっと大きな悪の存在には絶対に気付かない」と。
思考を停止させて、四月の愚か者たちにとって都合のよい世の中にしていこう。
中にはもっと大きな悪の存在に気づく、目ざといやつら(レフトウイングと呼ばれるやつらだ)もいるので、目一杯の監視社会は絶対不可欠だ。
よからぬ動きは、マイナンバーと特定秘密保護法案で監視しよう。
もっと縛り付けられる、なにかよい法律があればいいんだけど、まだ作れないから、まず大元の憲法をいじってしまおう。
いよいよだ。いよいよ、四月の愚か者のための、すばらしく都合のいい国ができあがるぞ。
さぁ、思考停止だ。ビッグブラザー万歳。
はぁ。
やれやれ。