薪ストーブ原生代42 焚かない夜がやってきた
今シーズンは10月の終わりごろに初焚きをした。
薪の消費量を懸念して遅焚きを目指したのだが、11月に足を踏み入れるまで我慢できなかった。
さて、それからというもの、暖冬暖冬と世間が騒ぐなかでも着実に毎晩薪をくべ続け、極寒の時期は当然朝も焚いて、のんびり休みの日は24時間焚き続けた。
焚けない特別な事情がない限り、初焚きからこのかた、夜の焚き付けをしなかったことは一度もなかった。
しかし、念願だったコナラの薪割りもほぼ終わり、四月の遅れてきた寒波をくぐり抜けた先に、春が来ていた。
桜の花が少しずつ咲き始め、夜でも室温は19℃。ついに焚かない夜がやってきたのだ。
お風呂上がりにストーブが着いていなくても、震えるほど寒くはなくなった。
とはいえ、「花冷え」なんて言葉もある。もちろん、まだ冷える晩もあろうから、まだ焚くことはあるだろう。シーズン終了を宣言するのはまだまだ先になると思う。
しかし、焚かない夜がやって来たというのは、かなり大きな事実だ。
その焚かない夜が来る前の晩には、受け口薪を焚いた。
受け口、つまり、木を伐倒するときに倒す方向に向けて切る部分のことだ。
ゆで卵のようだ。
この受け口を作ってから、後ろから追い口をチェーンソーで入れて木を倒すのだが、その時に出たこの受け口が薪に良さそうだったので持って帰って来た。
ちなみにこの受け口はプロの林業家が切ったもの。これくらい迷いのない受け口が作れるようになりたいものだ。
それを燃やす。
燃やす。
実によく燃えた。
この時も、天板には、その薪エネルギーを惜しむかのように大量のなべやかん。
いやー本当にありがたかった天板ライフ。
このエネルギーがこれからしばらく使えないと思うと、悲しい。
おそらく5月から10月は焚かないだろうから、約半年間のお別れ。
名残を惜しみつつ、あと少し、焚くときはその一日一日を大切に焚いていきたい。