薪ストーブクロニクル

食とエネルギーの自給を目指して

オフグリッド入門⑩ 完結編~セミオフグリッドで行こう

これまでオフグリッドについてはちょこちょこ書いてきた。

http://akagestoves.hatenablog.com/archive/category/%E3%82%AA%E3%83%95%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%89

4年ほど前にそのコンセプトを耳にし、共感して、自分の暮らしにどう落とし込んでいこうか、新居を実験場として色々と考えてきた。

 

まず、一番の理想は完全なるオフグリッドの暮らしを実現することだ。

配電線からの電気の供給を止め、自立した蓄電装置を家に配備して、屋根には必要充分なソーラーパネルを並べる。

暮らし方にもよるが、ある程度の大きさの蓄電池を備えておけば、毎日テレビを見て、電子レンジを使って、こたつやエアコンで暮らせる快適な生活を送れる。

たとえ災害で大停電が長く続いても、涼しい顔をして日常を送れる。

少なくとも台風の停電の度に冷凍庫の食品が溶けるのを心配する必要はない。

寒さに凍えることもない。

 

フグリッドのゴールはここにあるのだろう。

それは分かる。

ちょっとオフグリッドについて噛ればすぐ分かる。

 

でも、それは何気にハードルが高いということも同時に分かってくる。

すっきりとしたオフグリッドハウスに住みたいなら、家を建てる段階でそういう家にするための設計が必要になってくる。

我が家は少し事情もあったが、オフグリッドについて何ら考慮されることなく建てられた家だ。

 

フグリッドについて考慮されることなく建てられた家でオフグリッドな暮らしをするにはどうすればいいか。

 

自エネ組さんに頼むというのがベストな選択肢のように思う。

http://www.jiene.net/

彼らのコンセプトは非常にクリアで、共感もできる。

なるべく今あるものを活かして、うまくオフグリッド生活を実現しようという提案は、新鮮で魅力的だ。

 

しかし、それでも最低200~300万円ほどの予算がないと設備をつけることができない。

いや、この値段が高いと言いたいわけじゃないんです。

ただ、経済的なメリットで行動することが多い大多数の人に、配電線とお別れするために300万円必要ですと伝えて、「そりゃ安い!」と即答する人がどれぐらいいるんだろう?という疑問が湧いてくる。

それだけのお金を出す価値があるのは個人的には理解できるんだけど、爆発的に世の中に広がって行くんだろうか、というと、難しいかもしれない。

難しくないかもしれない。

 

まあ、それはともかく、我が家に適したもっと違う形のオフグリッド生活はないだろうか、と、ここのところ手探りで色々やってきて、方向性が少し見えてきた。

 

名付けて「セミフグリッド」だ。

 

ここまで色々書いてきた通り、我が家には持ち運び可能なポータブル電源と折り畳み式のポータブル太陽光パネルで電気を賄っている。

 

暖房はもちろん薪ストーブ。

給湯は、天気に左右されるという点は不完全ながら、太陽熱温水器で作っている。

緊急時の水確保には、本当なら井戸が欲しいところだけど、ないので、雨水タンクで貯めている。

 

ポータブル電源と太陽光パネルの組み合わせは予算的には20万円でおつりが来たので、先日国からばらまかれた給付金で足りた。

蓄電装置と屋根に設置する太陽光パネルの10分の1以下だ。

もちろん、性能もいささか物足りなくて、暮らしを一から見直さないと、到底生活が成り立たない。

でも、電気という、いままで当たり前に使いまくってきたものをじっくり見直す素晴らしい機会に恵まれた。

いやー、人間、こんなくだらないことに電気を使うために、制御もできない原発をあんなにたくさん作りまくって来たのかーと切ない気持ちになった。

 

まずは節電ゲームから始めた。

どれくらいの電力があれば暮らせるか。

そして、節電が当たり前になった時点で、太陽光パネルとポータブル電源を導入。

結果的には、我が家の20万円の自家発電システムで賄えない電気は、月に約30kwh(月額900円ほど)。

おおよそ冷蔵庫と給湯の設備用だけが無理だった。

それ以外の照明も含めたほぼ全ての電力が我が家のしょぼい自家発電システムで賄えたのだ。

 

もちろん、雨や曇りの日が続けば、大好きな音楽鑑賞はアンプラグド(つまり自分の下手な演奏)で我慢することになるし、テレビのような贅沢な電力の浪費はもってのほかだ。

逆に晴れが続けば、毎日DVDで映画を観ることも夢ではない笑

なんと言ってもDVD鑑賞が一番の電力消費だ。パソコンもボディーブローのように効いてくるけど、DVD鑑賞ほどの覚悟は要らない。

 

そんな我が家で停電が起きたらどうなるだろうか。

一番心配しているのは、停電に気付かないことだ。

完全オフグリッド生活なら、停電に気付かないことは何の問題でもない。

しかしセミフグリッド生活では、冷蔵庫の電気が止まる。

停電によって我が家に起きる変化は、冷蔵庫のモーター音が止むこと、それだけなのだ。

うっかりしていると、その変化に気付かないだろう。

そして、冷凍庫の餃子やコロッケが溶けてドロドロになるだろう。

 

運よく停電に気づくことができたら、満タンになったポータブル電源で丸一日くらいは冷蔵庫を動かすことができるので、その間に冷凍食品を食べていく順番について対策を立てたり、次の日の晴れを利用して数日間、冷蔵庫を延命させられる。

 

これが、我が家のセミフグリッド生活の全貌だ。

 

屋根に設置する太陽光パネルより唯一強みがあるとすれば、スーパー台風などのとんでもない災害の時、バッテリーもパネルも室内の安全な場所に保管できるので、設備が破壊される心配がないという点だろう。

ほとんど負け惜しみだけど笑

 

全国にばらまかれた給付金程度の予算と節電の習慣さえあれば誰でもできるセミフグリッド。

よかったら、みなさんも試してみませんか?

試しませんよね笑