薪ストーブデボン紀② まさかこんな日が来るとは
借りている土地にある大きな栗の木が今年も大粒の実をつけた。少し採らせてもらって栗ご飯にしていただいた。
栗は落ちているイガグリを拾う方が楽だけど、まだ若い枝についているイガグリを高枝バサミで落として収穫した方が美味しい。
実も柔らかくて皮もむきやすい。
そして、地面に落ちたイガグリは、虫との競争もある。立派ないい栗が採れた、と思ってよく見ると先客に食い荒らされていることがよくあるのだ。
木の上の若いイガグリなら、やつらを出し抜けることが多い。
まあ、それはともかく、、
薪ストーブの話だ。
まさか、こんな日が来るとは思いもしなかった。
いや、少なくとも、薪を割り始めた頃は、生涯現役のつもりで斧を振るうつもりだったので(いまでもそのつもりはある)、こんな日が来るとは想像していなかったのだ。
そう。
電動薪割り機の登場である。
繰り返そう。
電動薪割り機なのだ。
いやー。おおげさだけど、人生何があるか分からないものだ。
なぜなら去年までは入手するつもりなんて微塵もなかったわけだから。
手に入れるつもりがないものがなぜ家にあるのか、よりも先に、自分の近況を説明しておくと、今年の春から夏にかけて、半年間、脛椎の椎間板ヘルニアに苦しんでいた。
まあ、症状としては軽い方だったので、生活に大きな支障を来すことはなかったが、薪割りなんて考えられない痛さと腕の痺れに耐えていた。
ひょっとしてこのまま治らなければ、手割りなんて不可能、そうなると薪割り機のお世話にならないといけないのかな、と薪ストーブ生活を始めてから、初めてそう思っていたのだ。
本当にそれまでは一度と導入を考えたことすらなかった。
しかし、幸運にもヘルニアはほぼ完治。
またこの秋から元気にフィスカースの斧を振り回している。
あれ?じゃあ薪割り機、いらないですよね(笑)
なんでうちにやって来たんだ?
それは、薪ストーブの先輩が譲ってくれたからだ。
薪割り機が壊れて、新しい薪割り機を買ったんだけど、壊れた方を直してくれる達人がみつかったので修理に出したらしい。
で、おそらく直ってるだろうけど、2台も家に置くのが邪魔なので、古い方をよかったらあげるよ、と言われ、あれよあれよと言う間に我が家に薪割り機がやってきた。
ヘルニアとか、将来が、そんな事は一切関係なし。僕の気持ちや体調と全く関係のないところで、偶然、完全になし崩し的に我が家にお越しになられた。
本当に使えるか、まだ分からない電動薪割り機。
そもそも使ったことがないわけで、どんなスピードでどういう風に動くのが正解かも分からない。
とにかく使ってみた。
玉を置いてみると、薪割り機が小さく見えるが、これはこのアラカシの玉がそこそこデカイのだ。直径は20センチを超えている。
もう使っている方はご存知なのかどうか、そもそも電動とエンジン式ではたぶん動かし方が違うと思うが、我が家に来た電動薪割り機くんはこのレバーをネズミマークからゾウマークに動かすことで、玉を矢じりの方へ押し出していって、
そして、ぐいぐい押して割る。
お見事!
直ってるかどうかわからない、というやや怪しい状態で我が家にやってきた、薪割り機くん。
ものの五分で薪の山を築く。
まるで頼れる兄貴のような、素敵なやつなのでした。
そのパワーは7トン。
まあ、7トンと言われても、ピンとこないが、体重200キロの力士が14人でぐいぐい押しているようなものか。
ひとつだけ気がかりなのは、消費電力が1500wという点だ。
我が家のポータブルバッテリーでは使えない、消費電力。
あれだけのパワーを発揮するためには、致し方ないのだろう。
まあ、しかし、基本的にはこれからも我が家は斧で割る。
身体や時間的な条件を考慮しながら、必要に応じて、薪割り機くんに助けてもらう、という感じになると思う。
これから本格的に使ったら、またレポートしていきたいと思う。
いやー、しかしまさに、犬も歩けば棒にあたるもんだ。