薪ストーブクロニクル

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薪ストーブデボン紀④ 原木栽培の椎茸、ついに成功せり

原木栽培椎茸なんて、木に菌を打てば簡単にできると思っていた。

 

それでも、一応育て方を調べて、手順を守って栽培してみた。

 

①菌打ちから

原木椎茸となめこを育てる~きのこの菌打ちをする - 薪ストーブクロニクル

 

②仮伏せ

原木椎茸の仮伏せ~冷やさないように、乾かさないように - 薪ストーブクロニクル

 

③本伏せ

原木椎茸栽培への道~ついに本伏せ - 薪ストーブクロニクル

 

と、まあこんな感じで菌を確実にほだ木に繁殖させて、これで「しめしめ、秋には食べきれないくらいの椎茸が出てきて嬉しい悲鳴をあげることになるぞ」などとほくそえんでいたのだが。

 

蓋を開けてみれば、何年たっても椎茸は出ず。

一年目は完膚なきまでの失敗だった。

これが2018年のことだ。

 

次の年、2019年も菌を打った。

まだ失敗しているとは思いもよらず、同じように菌を打って、同じように立て掛けておいた。もちろん、二年目も同じように失敗することになる。

 

三年目の2020年。

どうやら最初の年に打った椎茸は失敗したらしいと分かりはじめていたので、やり方を少し変える。

変なキノコや菌がやたら繁殖しているようなので、保管場所を家の北側のもう少し風通しのいい場所に変えてみた。

 

結果から言うと、この年のキノコも完全に失敗だった。

 

三年失敗して、さすがに目が覚めた。

 

これまでも、どうすれば成功するか、実はうすうす分かっていた。

要するに、山の中にほだ木を置いてくれば、日が当たらず、風通しが良くて雨がかかる、という椎茸に理想的な環境に必然的になるので、おそらく失敗はないだろうと思っていた。

 

ただ、発生したときに逐一山の中に見回りをしていないと、ちょっと採り遅れて巨大化、採り頃を逃す、なんていうことになりかねない。

やはり椎茸は、いつでも見回りができる家の回りで育てたい、という強い願望(ものぐさとも言う)があったので、なんとか家の回りで山に近い環境を整えようとしていたのが敗因だ。

 

椎茸は50℃程度の高温で菌が死滅するらしい。

つまり、真夏の直射日光を浴びれば、ほぼ全滅するということになる。

一番暑い真夏でも気温は40℃手前で止まるが、照り返しや直射日光をもろに受ければ、表面の温度は気温よりはるかに高くなる。

 

そんなこともじわじわと分かってきた。

 

で、だ。

 

2021年、四年目にようやく重い腰をあげる。

 

薪の作業場を借りていた隣人の持っている山に置かせてもらうことにしたのだ。

 

山までほだ木を運び、くぬぎ林の中に杭を打って、そこに並べた。

これでもう大丈夫。

 

の、はずだった。

 

なんとよりによってその2021年の夏に隣人トラブルが発生。

薪の作業場に置いていた軽トラ8台ほどの薪と、山の中のほだ木をすべて撤去しなくてはならなくなった。

 

薪はともかく、ほだ木を家に持ち帰れば、また真夏の暑さで菌が全滅してしまうに違いない。

 

波瀾万丈の椎茸栽培。

 

もはやここまでか?!

 

しかし。

 

 

その2021年の春に菌を打った椎茸、結果から言うとこの10月にもりもり発生し始めた。

 

初めはポコポコとチビ椎茸が顔を出す。
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小さな小さな椎茸。
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ぬおおおおーー。
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中山康樹風に言えば、興奮に次ぐ興奮である。

 

この椎茸たちが出てきたのは、2022年の秋。

つまり2021年の春から一年半が経過しての発生だ。

つまり菌を打ち始めてからすでに5年という歳月が経過している。

 

苦節とはよく言ったものだが、たいした苦節ではなかったけど、諦めなくてよかったとは素直に感じる。

 

次の日に見に行くと、もうこんなに大きくお育ちになられて。
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まるで、子供の成長を見守るがごとし、だ(笑)

 

初めての収穫。
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とりあえずバター焼きにして食べた。
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さらに2日後、椎茸は更に成長を続ける。
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今度は頃合いの大きさのものがたくさん採れた。
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ちなみにこの2020年の椎茸、くぬぎとコナラの原木それぞれ3本ずつ菌を打った。

 

不思議なことに、3本のくぬぎから申し合わせたように椎茸がまず発生。

そのくぬぎから出た全ての椎茸の収穫を終えた10日に今度はコナラのほだ木から一斉に発生してきた。

 

今年はほだ木は六本だけ。

 

しかし2021年にまた更に10数本の菌うちをしたので、来年は間違いなく採れ過ぎて嬉しい悲鳴をあげる予定だ(笑)。

 

ちなみに、隣人トラブルで追い出されたほだ木たち、その後、どういう変遷をたどって無事椎茸の発生までこぎ着けたかというと…

 

捨てる神あれば拾う神あり、というやつで、ちょうど、椎茸のほだ木を置くのにぴったりな場所がある畑を同じタイミングで、別の方からお借りできることになったのだ。

 

その畑には、南向きに大きな枝を繁らせた栗の木が立っていて、夏場はそこが完全に日陰になる上に風通しもよいので、ほだ木を置くのに理想的な環境だったのだ。

 

同じ管理場所から、ヒラタケも生えた。
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しかし、このヒラタケは、雨が降らずに萎れてしまった。

 

キノコ繋がりでは、この巨大な天然舞茸か大きなニュースだ。
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人間の顔よりはるかに大きな天然舞茸。

 

自分で採ってたらビッグニュースなんだけど、残念ながら自分では見つけられてない。

山の近くのお店で購入。

 

あらゆる料理で味わい尽くした。

 

特に天ぷらの美味しさは、言い表し難い。

 

しかし、山のキノコの季節は11月が本番。

 

これからまた忙しくなる。