オフグリッド入門③~太陽熱温水器でお湯を作る
太陽熱温水器とは、読んで字のごとく、太陽の熱を利用してお湯を作るシステムのことだ。一昔前は、あちこちの家の屋根に朝日ソーラーと書かれた温水器が乗っていたものだが、最近は昔設置されてボロくなった温水器が肩身も狭そうに屋根あるのを見かけるばかり。すっかり太陽光パネルにその座を譲ってしまった感がある。
そんな時代錯誤なものをなぜ導入することにしたのか?
まあ、そのへんにも触れながら話を進めていこう。
こんな感じで、屋根の煙突の近くに設置された。
そもそも、オフグリッドということに興味を持ったときは、送電システムから外れて電気を自給したい、という気持ちで色々調べていた。
しかし、太陽をエネルギーとして利用するなら、太陽光パネルによる発電より、太陽熱温水器の方がずっと太陽エネルギーのエネルギー変換効率が高いということを知った。
広い意味でのオフグリッド的な考え方をするなら、太陽光パネルよりも先に太陽熱温水器をつける方がオススメなのだそうだ。
以下のようなサイトもあるので、興味がある方は見てほしい。
最新の太陽熱温水器を比較!これは全世帯におすすめしたい必須アイテム | 一家だんらん
この記事によると、太陽光パネルは太陽エネルギーの10~20%しか利用できないのに、太陽熱温水器は太陽エネルギーの50~60%も利用できるのだそうだ。
というわけで、迷うことなく設置する運びとなったわけだ。
話を設置する日に戻そう。
まず、真空管とタンクを置くための架台を設置した。
思いの外、煙突の近くに設置することになったぞ。大丈夫か?
次に、その架台に、真空管をさして水をお湯に変えるためのタンクを置く。
このタンクに真空管をさして、屋根の上の組み立ては完成。
ちなみに、このタンクは大きな魔法瓶のようなもので、一度お湯になると簡単には冷めない。その日のうちに使い切らなかったお湯は、魔法瓶同様少しずつ温度は下がるものの、次の日にそのお湯を持ち越すことができるのだ。
これってすごいことだと思う。
太陽の熱エネルギーを余すところなく利用できるのだ。
さて、屋根上のタンクと真空管は設置完了。
ここまでは、素人でも3人いれば設置できるようだ。
ちなみに太陽熱温水器のメーカーごとの違いなどについては、もちろん実際に使って比較したわけではないのであくまでも情報をもとにした想像なのだが、真空管タイプのものなら、どれも性能に差がなさそうだ。
ただ、デザインは多少異なる。屋根の上にドーンと乗るわけなので、あまり意に沿わないデザインのものは避けた方が良さそうだ。
僕の選んだサントップという、寺田鉄工所のものは、特にこだわりがあって選んだわけではなく、お世話になることになった工務店で何度も設置していて慣れているから、というだけの理由だ。
価格が高めなのだが、実際には定価よりかなり安かったので実売価格はどれも大差ないのかもしれない。
ネットで調べても、それぞれの性能差や価格差を知ることはできなかった。あまりにもニッチなアイテムなので、比較できるほどの知識を持った人も少ないだろうし、機種選びにそこまで神経質になることもないのかもしれない。
下の配管は水を屋根に送ったり、屋根で出来たお湯を給湯器に送り込むものだ。
ここは、基本的に電気がなくても機能する。アナログ設計なのが嬉しい。
下の画像のミキシングバルブが、アナログ的に屋根上で出来たお湯と水を混ぜて、だいたいの設定温度にして室内に供給してくれるのだ。
給湯器の電源を切っていても、電気が止まっも、蛇口でお湯を捻れば、だいたいの設定温度のお湯が出てきてくれる。あくまでだいたいの温度だ(笑)。
実際に試してみた。
おお、給湯器の電源はオフだけど、ちゃんとお湯が出てくるじゃないか!ちょっとぬるいけど、食器洗いには過不足なし。
オフグリッドアイテムはこうでなくちゃ。
停電したら使えない、というのではオフグリッドと言えない。
さて台所の給湯はこれで問題なし。
次は最大のポイント。つまり、風呂だ。
熱々の風呂入れてこそ、太陽熱温水器を設置した甲斐があるというものだ。
冬なので、もともとの水温は低めだが、太陽がしっかり出た日を見計らって、実験。
その日は少し給湯温度を下げて、お風呂にお湯をはった。
浴槽にお湯をためている間、ガスを使っているマークが出なかった。
お湯は全て太陽熱で作ったものだけで浴槽に貯められたことになる。
しかし、これではぬるいお湯。
熱々の気持ちいい風呂ではない。
そこで、あらかじめ、薪ストーブでガンガンに温めておいたお湯を浴槽に注ぎ込む。
これで、熱々のお風呂完成。
すげー気持ちいい。
そして、ガスで沸かしたときより、心持ち身体が暖まり、お湯も冷めにくい気がする。
これで一応オフグリッドな入浴も可能なことが判明した。
もちろん、こんなややこしいことをしなくても、いつも通りにお風呂を沸かしても、いつもより圧倒的にガスの使用料は少ないはずだし、夏場は間違いなくガスを使わずにお風呂を利用できるはず。
ただ、プロパンガスを使わなくても、そして、場合によっては電気もなくても、風呂に入れる。
薪ストーブとの併用で、冬場はさらに安心だ。
去年までのガス代とどれぐらい差がつくのか、ということや、夏場の使用状況については、また追って報告したいと思う。
とにかく、太陽が顔を出せば、お湯が出来て、雨が降ればタンクに水が貯まる、全天候型オフグリッドハウスが一歩動き出したぞ。
テンションを上げつつ、まだまだつづく。