薪ストーブクロニクル

食とエネルギーの自給を目指して

リンカーンの斧の逸話について考える

「もし木を切るのに8時間与えられたら、斧を研ぐのに6時間使うだろう」

斧使いや薪割りの業界?では有名なこの格言。
アメリカ大統領エイブラハム・リンカーンの言葉だ。

これは一般的には、

「何事も始める前の準備が大切だ」

という意味の格言として知られているが、実際に木の伐採現場に当てはめてみるとどうなるだろうか?

なんとなく、斧を6時間も研いでから木を切り始めたのでは、いくら鋭利な斧に研げたとしても作業の効率が悪いんじゃないかと思うが…
実際、ネット上でも、六時間はいくらなんでも長すぎるとか、リンカーンは頭がおかしいんじゃないかとか、結構ボロカスに書かれてたりするが、たぶんそういうことではないのだろう。

例えばチェーンソーで切るなら、木を切りながら頻繁に目立てをするので、チェーンソーの実働時間が2時間ぐらいということも十分考えられる。5分切ったら15分目立て、ということを繰り返してみたら、ものすごく効率がいいかもしれない。

まあ、これは極端だとしても、チェーンソーは使用前と使用後にきちんと目立てをしておくと、いつだってきちんと応えてくれる。

単純に斧やチェーンソーを使うとき、余裕がなかったり準備がいい加減だと、効率が悪かったり、ろくなことが起きなかったりするものだ。

なにごとも余裕をもって。特に斧やチェーンソーみたいな非日常のものを使うときはなおさら。

まあ、そういうことにしておこう。

薪ストーブ前史⑫結局もらってきた、ロング半割木材

厚かましく、下さいと言ってみたが、どうも仕事が忙しすぎて切ったり割ったりする時間がなかったらしい。

二つ返事でオッケーをいただいた。

その喫茶店でもらった、ちょっと変わった荷姿の原木、というか木。

正確に言うともらった木は半割りばかりではない。

4等分、いや6等分になっているものもあった。
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この画像では分かりにくいが、長さはだいたい80㎝。半分にカットすればちょうど40㎝の薪になるという、至れり尽くせりな木だ。しかも、どうやって割ったのか、半割りや、4等分、6等分、といった細かく割られた物がある。画像で見えるだろうか。

 

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しかし、こんな長い木をどうやって半割にしたんだろう?薪割り機ならできるんかい?

 

この木、この状態のまま一年以上放置されたらしく、すでに中までほぼ乾燥している。

実際に割った木の内部の含水率を測ると、おおむね15~16%という理想的な数字になっていた。

つまり、割った端からいますぐにでも焚ける薪になっていくということだ。

これはちょっとしたフィーバーではないか!

惜しいのは、すぐに焚けたとしても、肝心の薪ストーブはまだないということ。

なんといってもまだ薪ストーブ導入前の話(薪ストーブ前史)なのだ。

 

乾燥の必要がないという安心感も手伝ってしばらく積み上げていたが、重い腰をあげて、チェーンソーを手にした。

カラカラに乾いているので、チェーンソーを入れると、ものすごくささくれた断面になって切れていく。

あれ、切りにくいな。

あんまり気持ちのいい切れ方ではない。堅いから、チェーンソーの刃もすぐに磨耗する。毎日目立てる。

とにかく暇を見つけてはコツコツ玉切りしたのだった。

薪ストーブ前史⑪薪長80㎝の半割り?木材

蕎麦屋さんから針葉樹もらったり、そんなんばっかりで恐縮だが、また別の知り合いの喫茶店に薪ストーブユーザーがいる。

そこでは冬の営業のときに薪ストーブを焚いて温かい店内で珈琲が飲めるのだが、何故かいつまで経っても割られない木が店先に置かれていた。長さ80㎝。かなり硬そうな広葉樹だ。

しかし丸い原木ではなく、半割りだったり1/3に割ってあったり、とにかく大きく割られている。

いくら割られているとはいえ、80㎝の長さの太い木を薪とは呼べないだろうし、そもそもそんなに長い薪が入る薪ストーブは今のところ聞いたことがない。

つまり、この巨大な半割りはまだチェーンソーで半分にカットした上で、さらに数回斧で割らないと、ストーブに入るサイズにならないくらい巨大な木なのだ。

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↑長さ80㎝。こうやってチェーンソーで半分に切るとちょうどいい長さに。

 

それが30~40本ほど店先に置かれている。しかもいつまで経っても割られる気配がない。

心配になって店の方に聞いてみると、仕事がいそがしくて、チェーンソーで切ったり薪割りをしている余裕が一切ないまま気がついたら何年か経過していたそうだ。

 

ここで一般の人なら、そうですか、それは大変ですね、となるのだろうが、世の中の木が全て薪に見えている僕は、厚かましくも、

「僕がもらって切ってもいいですか?」

と、聞いていた。

 

いや、確かに薪欲しさ、というのもあるが、このまま木が薪になることも叶わず朽ちていくのをみるのは辛すぎる。という気持ちも強くあった。

まあ、とはいえ厚かましすぎるので、まさか本当にもらえるとは思っていなかった。

薪ストーブ音楽館①「セゴビアの芸術」

寒い冬の夜。薪ストーブが煌々と燃える部屋にテレビは似合わない。

もちろん、部屋を暗くして静かに薪がはぜる音に耳を傾けるのも素晴らしい。

しかし、時には炎のぬくもりを感じながら、じっくりと音楽を聴いてみるのもいい。

そんな、薪ストーブを傍らに置いて聴きたい音楽を紹介する「薪ストーブ音楽館」。今回はこの一枚。

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 「セゴビアの芸術」(アンドレアス・セゴビア

 まだ薪ストーブも持っていないので、薪ストーブに合う音楽とかそんな趣旨のことを言える立場ではないが、それでもとりあえずこのアルバムを真っ先に挙げたいと思う。。

というのも、火のともった薪ストーブを前にして、一番始めに聴きたいと長い間温め続けている一枚だからだ。

アコースティックなサウンドの極致ともいえる、ガットギターの等身大の音像が、真の芸術家と言えるクラシックギターの御大セゴビアによって余すところなく表現されている。

テクニックをひけらかすことなく、自然な木の共鳴による生の音がとにかく心地よい。このアルバムが薪ストーブに合わなければ、もう無音で過ごすしかないのではなかろうか。薪ストーブとセゴビアのギター。いまから楽しみで仕方がない。

薪ストーブ前史⑩薪を積むのは難しい

庭にはえていた、たった一本の原木から、驚くほど大量の薪を作ることができた。

当然割りたてなので、たっぷり乾燥させなければダメだ。含水率も30%を超えている。

薪棚はまだ環境的に作れない(新築工事中)ので、適当に屋根のある軒下に積むしかない。

 

で、積んでみたのが下の画像。

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 初めての人間が、まとまった量の薪を、生半可な知識で積むとこうなる。

 いや、これはひどい

井桁に積もうとしている両サイドが今にも崩れそうだ。

高く積み上げられるはずの井桁の積み方なのに、これ以上上に積むと確実に崩れてしまう。

しかし、とりあえず栗はこれでおしまい。一本の原木からこれだけの薪が作り出せた。

大満足だ。次の冬には焚けるだろうか?

薪ストーブ前史⑨栗の薪割り

栗の木は、比較的比重が低めで、火持ちも、ナラやクヌギのようにパワフルではないらしい。しかも、導管と呼ばれる、木が水を通す管が、世界中の樹木の中でも最大級に太いらしく、薪として火にくべたときその導管が破裂して、パチパチとはぜるらしい。はぜると、火の粉が飛び出してきて結構危ないらしい。

焚き付けなどのときに迂闊に栗を放り込んだりしたら危ないじゃないか。

それなら、栗は栗として他の薪から隔離して、これは栗だぞ、と認識しながら使用すれば、そんなに危なくないんじゃないか、それなら栗専用薪棚に丁重に保管して乾燥させればいいんじゃないか。

 

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右のひときわ大きな玉がターゲットの栗。

左には中くらいの針葉樹の玉と金木犀の小さな玉がある。

よし、とにかく割ろう。

 

えいや!!

 

パカーーーン

 

おお!なんちゅう手応え!

爽快!

快感!

 

フィスカースの斧、玉切りしたての玉なら、どんだけ太い木でも一刀両断じゃないか!

半割り、そしてそれをまた何等分にもしていく。ひとつの玉から20本くらいの中割りの薪ができた。

薪ストーブ前史⑧小錦は転がせない

重くて転がせなかった栗の木。

直径が50~60㎝で長さが2m。間をとって直径を55㎝とすると体積が約0.5立米。

そして栗の比重は約0.6。

つまりざっくりとだが、少なくとも300kgぐらいはあった計算になる。

 

日本相撲史上最も体重の重かった関取であるハワイ出身の小錦ですら285kgだ。小錦以上の重さの原木をおいそれと転がす事などできようか。いや、それはちょっとできない相談だ。

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 さて、仕方ないので延長コードを2つ繋げて電動チェーンソーで5等分にした。そうすれば約60kg。米俵1俵分だ。もしくは普通のサラリーマン一人分だ。余裕で転がった。余裕で転がったので、薪割り場までゴロゴロ転がした。

 

よし割ろう。直径60㎝。薪長40㎝。堂々たる玉が目の前にあるのだから。