薪ストーブクロニクル

食とエネルギーの自給を目指して

薪ストーブカンブリア紀⑯ 多忙を極める6月、煙突掃除を終わらせた。畑の話。お茶の話。

春が過ぎ、梅雨に入り、緊急事態も今や昔、とはいえ第二波に戦々恐々。

世界では感染者が1000万人突破。

いや、これは何か目に見えない思惑のために仕組まれたシナリオだ。

新しい生活様式が必要?

 

はっきり言ってどこ吹く風だ。

 

世の中がコロコロ変わろうと(実際のところ無駄にコロコロ変わっていく)、それを追いかけていくのは奴らの思う壺だ。

 

世界がこれから向かう方向は、ほぼ100%間違っていると断言できるけど、それに対応するには自立するための知恵がいる。

まだまだそんな大それたものは自分にはないけど、世界の後を追わないことだけは決めている。

 

今の世の中がおかしいことは分かるとしても、いつから、どんな風におかしくなってきたんだ?

アフターコロナ?

いや、もっととっくの昔からおかしかったはず。

こういう時は、原点に帰るのが大切だ。

 

そう、原点回帰。

 

食べ物なら米と醤油と味噌。

熱エネルギーなら薪と太陽。

文学なら源氏物語

漫画なら手塚治虫

音楽ならバッハ。

国のあり方で言えば古代ローマか。

 

原点こそが最高のものだったりすることがある。上に挙げた例で言えば、まさにそうだ。

これだけ年月を重ねて来ていながら、ちっとも進歩していないのだから困っちまう。

なのに、次々と新しくて、いままでにないものを求めてやまない。

そうしないと、資本主義社会は成立しないからだ。

一企業が資本の力で他国の法律をねじ曲げたり、国土を買い占めたりできる時代だ。

神の見えざる手が働いて、世の中を万事よろしく導いてくれるなんて、とてもじゃないがそんなナイーブな話は信じられない。

 

そんなこんなの世の中の物々しいニュースと比べて、今の季節になんといってもリアルな意味を持つのが「梅干し」を漬けることだ。

梅干しはリアルだ。

青梅を黄色くなるまで見守って、塩をする。

次第に透明な梅酢があがってくる。

この梅酢の重要性は比類がない。

スマートフォンの最新のアプリケーションより役に立つ。

梅干しはリアルだ。

もし、梅干しを漬けたことがないという人がいたら、絶対に漬けるべきだ。

梅干しを漬け始めた瞬間から、土用干しのためにざるの上に一個ずつ梅を並べて天日に当てている瞬間から、人生の景色が変わるのを実感できるはずだ。

 

土用干しほど生への実感を感じられることは、そう滅多にあるものじゃない。

薪割りに匹敵する、生への実感。

今年も土用干しが本当に楽しみだ。

 

そんなわけで、梅干しは、生きるために何が必要で、何が些末なものなのか、まざまざと教えてくれる。

 

・・・

 

そんなことを考えながら、日々忙しく暮らしていたら、あっという間に一年の半分が終わっていた。

 

このままでは、六月に一度の更新もないままに7月に突入してしまう。

いくらなんでもそれはご無沙汰すぎる。

 

春になれば常識的な人たちは薪ストーブのことなんて考えなくなるし、アクセス数も減る。

薪ストーブブログのニーズはあんまりないのが現状ではある。当たり前の話だけど。

 

とはいえ、このブログは薪ストーブのことだけ書いてるわけじゃなくて、むしろ薪ストーブと並列されるべき自給エネルギーの話や、食べ物の自給についてもバリバリ書いていきたいというのが、当初からの一貫した姿勢なのだ。

 

春になったからといって薪活をサボってられんのだ。

 

いや、サボタージュしていたわけではなくて、むしろ薪の確保、焚き付け乱造、煙突掃除と、薪ストーブ関連のピチピチした新鮮なネタは豊洲なみに豊富だったわけだが、それを記事にしている時間がなかった。

むしろ、薪ストーブ以外のことに忙殺されていた。

 

その一つが、畑だ。

 

畑仕事はもう四年目。

 

今年に始まったことではない。

 

でも、いままではどうしても薪ストーブのことが最優先で、春だろうが夏だろうが、薪の確保と薪づくりを最優先課題として取り組んできた。

そして、最近ようやく数年分の乾燥薪を用意する目処が立った。

引越した三年前は安普請の小さな薪棚ひとつと仮設の薪置き場が1カ所だけだった家の周りも、いつのまにか常設の薪棚が6つと、仮設の薪棚が8カ所。山の薪場にも薪棚が5カ所。

材積は15立米はくだらない。

 

やれやれ、これで3年間は安心の薪ストーブライフが約束されたぞ、という段になって、この節穴の目が畑に向き始めたのだ。

遅きに失した感はあるが、ともかく、畑だ畑、と。

この三年間、夏野菜を植えたものの、追肥も誘引も除草も潅水も、思い出した時に行き当たりばったりにしかしていなかった。

当然、野菜もできたりできなかったり。

 

今年の夏は、もっと畑と真剣に向き合おうと思ったわけだ。

5月から採れ始めた苺は、過去最高の収穫量だった。

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これは、毎日苺畑のパトロールを欠かさなかったこともあるが、ちょうど苺が実る最盛期に運良く晴天の日が続いて、ナメクジにもやられず、綺麗なまま収穫し続けられたことが大きい。

 

今が旬の根菜類は玉ねぎだけは無様な失敗に終わったが、ジャガイモ、ニンニク、ラッキョウは自家用としては充分な量が確保できた。

ジャガイモ、ニンニク、ラッキョウの3種は、収穫がそのまま次回の種となるため、多めに採らなければいかない、というプレッシャーもある。

うまくいったのはよかった。

 

ラッキョウは梅干しや梅シロップなどと一緒に早速うちの奥さんが漬けてた。

甘酢漬けと塩漬けの2種類。

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塩漬けして、土用干し干しを待っている梅も2瓶写っている。

まだまだ道半ばではあるものの、保存食が少しずつできてきている。

この夏はトマトソースもたくさんつくりたい。

 

 

さて、さらにさらに。

今年は世話をしている茶畑で茶摘みとお茶作りも初体験した。

もっとも、この茶づくり、全くいい加減に、作ったので、いわゆる緑茶でもなければ、番茶でもない。ちょっと中国茶に似た風情はあるが、野草茶と言ったほうが正しいかもしれない。

 

山の薪場にある茶畑。

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そこで摘んだ茶葉。一芯三葉だ。
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太陽で少し干してから、
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5月の最後の薪ストーブの火入れの時に乾燥させた。
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5月って、だいぶ前の話だな。
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一応お茶らしきものができた。

これをフライパンで煎れば、ほうじ茶のようなものができるはず?

よもぎ茶やハブ茶と混ぜて飲んでいる。

市販品とは全然違うが、これはこれでいい感じだ。

 

畑の野菜は艱難辛苦を乗り越えて(笑)なんとか無事に育っている。

夏野菜レポートはまた来月になるだろう。

 

最後に今年の煙突掃除について簡単に報告して、今日のブログを締めくくろう。

とは言っても、煙突掃除について毎年中身が変わるわけでもない。

出てくる煤の量もほとんど同じだ。

新聞紙で養生して、

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口元の煙突を外して
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ロッドを突っ込めば完了。

いつもそうだが、外すのは簡単なんだけど、元に戻す時にちょっと難儀する。

 

そして恒例の薪ストーブ本体や炉台の掃除もした。
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ピカピカの新品、とは言えないが、まだまだ綺麗なネスターマーティン。

頑張れ、ネスターマーティン。
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他の機種に乗り換える気はゼロだ。他とは比べようもないけれど、本当に素晴らしい薪ストーブ。何の不満も物足りなさもない。

なるべく大切に使って、一年でも長く現役でいて欲しい。

もし、このブログが続いているなら、ネスターマーティンがどれくらい長く使用に耐えるのか、そのレポートもできればいいのだが、えらく先の話になること間違いなしだ(笑)。

 

更新をサボったおかげで、何回分かのネタを一気に使い切ってしまった。

 

次回は膨れ上がった我が家の薪棚の紹介でもしようかな?

薪ストーブカンブリア紀⑮ 野草に開眼。畑も充実。焚き付けも作る

スーパーマーケットに行けば、今が端境期だなんてことを忘れてしまうくらい、ありとあらゆる野菜が棚に並んでいる。

 

だから、食べる野菜がないなんて言っても信じてもらえないかもしれない。

 

でも、確かに今は冬野菜と夏野菜の収穫期の境の、野菜が採れない季節だ。

 

春の野菜だってあるにはある。

 

春キャベツ、わけぎ、絹さや、エンドウマメ

 

我が家で毎日収穫できるのは、その中でも、絹さや、スナップエンドウ、そして萌芽を摘み取って食べるブロッコリーくらいのものだ。

 

お金を出せば、トマトだろうがカボチャだろうが、小松菜だろうが、なんだって買えるんだけど、自称オフグリッダーとしてはなんとか自分の庭で日々の食を賄いたい。

 

肉類はおいそれとは無理でも、野菜類はなんとかならないものか。

 

そこで、目をつけたのが、山菜と野草だ。

 

山菜はどちらかというと、春のご馳走の部類に入る。

 

フキノトウから始まって、つくし、タラの芽、コシアブラ、タカノツメ、わらびにこごみetcetc...。

てんぷらにして、食べれば、それこそ他の季節には食べられない味わい深さにため息が出る。

 

しかし、山菜はなかなか家の庭には生えていない。

 

そこで野草だ。

 

野草。つまり、言葉を変えれば「草」。もっと身も蓋もない表現を使えば雑草だ。

 

しかし、雑草とは。

この雑草という言葉ほど、現代の人間の独善とエゴを剥き出しにした呼び方もないだろう。

 

現代の暮らしに役に立たない草をまとめて雑草と呼ぶわけだ。

 

例えば我が家の「雑草」たち。

ウシハコベカラスノエンドウヒメオドリコソウオオイヌノフグリホトケノザなどなど

この草たちは土が酸性にもアルカリ性にも傾いていない、野菜の栽培に理想的なpHであることを教えてくれる。

ここにスギナがボーボーと生えくるようだと、土が強酸性になってるよ、というサイン。

 

お昼どき。

 

腹が減って、さあランチだ、となったとき、畑で絹さややブロッコリー、そして間引いた水菜やヒノ菜を摘んでくる。いや、これじゃ全然足りないぞ、となれば、ハコベユキノシタも摘んできて、一緒にラーメンの具にしよう。

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それぞれ、サッと茹でてラーメンにトッピング。
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味噌ラーメンのちょっとこってりした味わいによく合う。特にハコベはシャキシャキしてうまかった。

 

こいつはハコベでチャーハンも作ってみても良さそうだ。
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少し多めに摘んでくる。なんたって、勢いの良い草だ。庭になんぼでも生えている。

これを刻んで、チャーハンに。
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これもうまかった。

ニンニクやネギの野生種みたいな野草、ノビルも刻んで入れている。

 

さて、お次はこごみの天ぷらを食べようと思ったけど、こごみの量が少なかったので、賑やかしに、これまた日陰にひっそり生えるユキノシタをたくさんとってきた。
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鮮やかな赤色はポリフェノールだそうだ。

こちらも天ぷらにした。
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サクサクして、クセはない。

エビセンかポテチのようだった。

 

その気になって探せば、庭にはたいてい、食べられる草が生えている。

スーパーで日々食べ物を調達していると見落としてしまいがちだが(まあ当たり前か)、多くの野菜が収穫期を迎えていない春にここまで豊かな山菜、野草の食卓が演出できるとは、いままで知らなかった。

 

しかも、栽培用にクセがないよう品種改良が繰り返されて栄養価がぼやけてきている今の野菜と違って、野草たちはめちゃ栄養豊富だ。

淡白そうにみえるハコベも身体に良い栄養で満ちあふれているし、ノビルは見るからに元気になりそう。免疫を高める硫化アリルもふんだんに含まれている。

 

コロナウイルスから逃げられない、という状況になったとき、唯一の対策は免疫力を高めてウイルスに立ち向かえる身体にしておくことだろう。

野草は間違いなく、今の季節に必要な栄養素を全て兼ね備えている。

摂取してみて、そういう実感がある。

 

さて、そうは言っても、野草たちが美味しいのはやはり春。

 

これから来るべき夏に向けて、大好物の夏野菜の仕込みは欠かせない。

 

まず畑を用意しないと。

 

いつもの畑はすでにこれ以上拡張不可能なまでに広げたので、ここは一つ、新たな畑を開墾しよう。

ターゲットはここ。
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この隙間の様な裏庭を畑にしてみよう。

どうせ、使われるあてもない、デスゾーンなのだから。

で、とりあえず、畝のようなものは作ってみた。
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ここに種を蒔いて育てている途中の夏野菜の苗のうちいくらかをそのうち植えてみよう。
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さて、完全におまけみたいな付け足しだが、薪ストーブネタも少し。

焚き付け作りもしたよ、という話。
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二部屋にわかれている薪棚3号機。

左は随分前にナラを中心にした薪が満載されている。

右は主に焚き付け用の小割りを入れる棚と考えているのだが、今シーズン全部使ってしまっていた。そこで、無節の杉を山から仕入れてきて、キンクラでせっせと細く割った。

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薪は焚いて温まる前に、見て楽しむもの。

積み方も大事だと最近は考えている。

表面の凹凸を減らして、滑らかに見えるよう、揃えてみた。

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きれいに摘んだ方が、薪が崩壊するリスクも減るしね。

 

この焚き付け材は来シーズン用なので、早めに割り終えておかないと乾燥が間に合わない。

杉の小割りなら半年もあればしっかり乾くはず。

はたまたもっと置かないと乾燥しないか?

これも実験してみることにしよう。

 

さあ、いよいよ薪ストーブも完全なシーズンオフに入る。

 

今年も梅雨までに煙突掃除をすることにしよう。

薪ストーブカンブリア紀⑭ シーズン終了間際〜石のかまどを作る

色あせたゴールデンウィーク

 

四月の後半からはぼちぼち薪ストーブを焚かない夜も出てきた。仮に焚いたとしても、針葉樹の杉やヒノキで軽く焚いてそのまま鎮火というパターンが多い。

そしてここ数日は全く焚かなかった。

 

晴れが続いて、ポカポカ陽気。

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電気は毎日たっぷり充電できて、映画鑑賞や洗濯にも過不足なく自分で作った電気を使えている。

今日に至っては朝からホームベーカリーでパンまで焼いてしまった。

さすがにバッテリー残量は激減したが、午後からの太陽がまた電気を作ってくれる。

 

しばらく薪ストーブのことは考えなかったよ、すまん。

 

まあ、この時期になると薪ストーブへの意識が低くなるのは毎年のことだ。

例年、4月後半までは時々焚いて、ゴールデンウィーク明けぐらいが、薪ストーブの出番の最後になる。そして、それから早くても十月までは出番がなくなる。

 

いつ煙突掃除をしようか。

来シーズンの薪はどれを焚こうか。

焚き付け、つくらなくちゃなぁ。

 

考えるのはそれくらいのものだ。

 

今年もおおむね、そのような感じで今シーズンが終わることになりそうだ。

 

薪ストーブも3シーズン目が終わろうとしているので、この3年を簡単に振り返ろう。

その前に我が家のワンコのサービスショットを。ミニウッドデッキの上で大胆にごろ寝だ。

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まず、一年間に焚く薪の量が全く分かっていなくて、薪集めに翻弄された一年目。

薪はあまりないくせに、薪ストーブを焚きたくて仕方がないという矛盾に満ちた状況の中、無駄に薪を減らしていった。

また、焚き方もいまいち分からず、熱源の利用方法も限定的だった。

 

薪の供給源が複数見つかり、安心して薪集めができるようになった二年目。

今度は薪を置くスペースがなくなってきて、Aクラスの薪(楢、樫、椚)ばかり選り好みするという、堕落まで経験した。

焚き付けを上からする、俗に言うところの「上から着火方式」に開眼したのも二年目だ。小割りの焚き付け材の消費量が半分ちかくまで減って大助かりだった。

 

そして、今シーズン。天板には常に鍋ややかんがフル稼働。

大きいやかんを先に沸騰させて、お風呂の追い焚き代わりの足し湯にして冬の間のガスの使用量がかなり減ったのもこの三年目だ。

薪は潤沢。置き場を次々に開拓して、貰える木は全て薪にして積み上げた。

ここ最近は、杉ヒノキも積極的に集めて薪にしている。

 

なんでいまさら針葉樹?

 

そう、針葉樹が必要になる理由があるのだ。

 

それがこれだ↓。

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庭に石組みのかまどを作った。

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バーベキューもできるが、主な使用目的は、薪ストーブを焚かないシーズンにも、薪のエネルギーを気楽に使える装置が欲しかったからだ。

 

例えばこんなときに役立つ。

 

隣のおじさんの家の竹やぶで毎年掘らせてもらうタケノコ。
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今年も大量だ。

しかし、タケノコはアク抜きをするために結構長時間ヌカと鷹の爪の一緒に煮る必要がある。

特に、でかいやつはしっかりアク抜きが必要だ。

それで、針葉樹の杉やヒノキでガンガン煮る。
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煮る。
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煮る。

 

適度に乾燥させておいた杉やヒノキは、その場でハチェット(手斧)で小割りにしてガンガン火力を上げる。

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まだ少し肌寒い夜に、焚き火を眺めながら外で飯を食べるのも、贅沢な時間だ。

 

とにかく、例年なら薪が減らないはずの5月から9月の間にも薪を使うことになりそうなので、より多くのストックを抱える必要が出てきたわけだ。

薪はどれだけあっても困らないからね。

 

さて、すっかり出番のなくなった薪ストーブはどうしているかというと、猫たちのくつろぎスペースと化している(笑)。

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まだ掃除はしていないので、今後、また冬の間の汚れを落として、綺麗にしてやらねば。

 

それはまた後日。

オフグリッド入門⑨ 太陽光発電システム、始動!作った電気で何ができるのか

前回からの続き。

電気を作る生活を始めた。

 

屋根に乗せて家中の電気をまかなうような、立派なものじゃない。

コロナウイルスの一斉給付金で買えちゃうくらいのささやかなものだ。

 

晴れた日中にデッキや庭に置いて充電。

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太陽光パネルは日が暮れたら家の中にしまっておくようなコンパクトなものだし、貯めた電気も部屋のあちこちに持ち運んで使う。

 

例えば今日は、外が雨なので、充電はできない。

仕方ないので昨日までに貯めた電気で、Wi-Fiルーターを充電しながら、

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レコードを聴いている。

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ビルエヴァンスのセカンドトリオ時代の名盤だ。

リバーサイドのオリジナルじゃないのが恥ずかしいところだが(笑)、マニアックな話なのであまり広げないようにしておこう。

 

さて、このレコード鑑賞とWi-Fiの充電を同時に行なって合計34wだ。

それほど使用電力は大きくない。

でも、レコードなんかは5分や10分で終わるようなものじゃないし、1時間ほど聴いているとバッテリーの残量は5%ほど減ってしまう。

 

そもそも、34wと言われても、普段全く意識しない数字なので初めはピンと来なかったのだが、700whのバッテリーが100%の状態で20時間レコードを聴き続けたら使い切ってしまう、という具体的な事例からなんとなく電力消費のイメージができるようになってきた。

 

こんなふうに、日々の暮らしの中で使う電気をひとつずつ、太陽に作ってもらった電力でまかなっていく。

 

さて、レコード20時間と言われてもあんまり役に立たない情報だと思うので、700whのバッテリー100%の状態から、我が家にあるあらゆる電化製品を使っていったら、どんなぐらいずつ減っていくのか、まとめてみたので少しお付き合い願いたい。

 

①レコードを一枚通して聴く。

使用電力30w

バッテリー残量100%→96%

 

iPhoneを充電(20%のものを100%まで)

使用電力8w

バッテリー残量96%→95%

 

スマートフォンを充電(13%のものを100%まで)

使用電力18w

バッテリー残量95%→91%

 

④夜になったので間接照明を1時間灯す

使用電力7w

バッテリー残量91%→90%

 

⑤読書灯で少し読書

使用電力4w

バッテリー残量90%→90%

 

⑥DVD鑑賞(ドラマを1話分)

使用電力124w

バッテリー残量 90%→71%

 

⑦テレビを40分ほど観る

使用電力101w

バッテリー残量71%→63%

 

⑧精米器で玄米5合を白米に精米

使用電力260w

バッテリー残量63%→62%

 

⑨電源をオフにし忘れて朝まで自然放電

使用電力3w

バッテリー残量62%→57%

 

⑩マキタのインパクトドライバーのバッテリーを充電

使用電力27w

バッテリー残量57%→53%

 

[11]洗濯機で衣類を洗濯

使用電力は洗濯、すすぎ、脱水など作業ごとに目まぐるしく変動

53%→38%

 

[12]掃除機

使用電力600〜1000w?

消費電力が大きすぎて使えず。

同じ理由でアイロンも使えず。

 

家にある家電を全て使ってみたが、満充電状態のポータブル電源はまだ38%の余力が残った。

700whの電力はだいたいこれくらいの能力があるのだ。

 

それにしても。

 

使用電力とその使用時間により、どの家電がどれくらい電力を消費するのか、こうしてみると本当に一目瞭然だ。

 

まず音楽を聴くという行為は、思ったよりは電気を使っている。

短い時間なら大した消費にならなくても、だらだらと垂れ流していれば、それなりに電力を消費してしまうのだと分かった。

テレビやDVD鑑賞については言うに及ばず。

 

電力と時間をダブルで無駄遣いしているのだと改めて痛感した。

コロナウイルス関連のニュースなどを観るためにテレビに齧り付いたりもしていたが、ダラダラ観ればいいというものでもなく、今ではテレビをつけることも少なくなった。

というか、意識的に観たいと思うものだけを厳選して、それが終われば電源を切るようになった。

時間を浪費するだけのくだらないもののために、貴重な電気を使えないぜ。

 

そして、自然放電もあなどれない。

充電が完了したスマートフォンも、そのままプラグを抜かずに放置しておいたら、どんどん電気を食うし、何もしていなくても、待機電力というやつは、チリツモで消費してしまっている。

 

消費電力が大きいのにケチらないのは洗濯機だ。

これは定期的に使いたい。

あまりバッテリーが少なくなってくると、電圧が下がるのか、使えなくなったりするらしいし、雨で充電がままならなくても、洗濯機を動かす分の電力は確保しておきたいと思った。

 

動かすことのできた電化製品の中で最も消費電力が大きいのは精米器だったが、これは数分で精米が完了するので、実質的な消費電力としては大したことがなかったのは嬉しいポイントだ。

 

そんなわけで、このような能力を持つ700whのポータブル電源を2つ購入し、100wの発電能力の太陽光パネルでそこに順番に充電しては使う、という方式でとりあえず、2週間ほど試してみたところ、電力会社さんから電気代の請求がやってきた。

 

あれ、なんかいきなりすごい数字になってるぞ。

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死ぬ気で節電した前年同月が55kwhだったのに、今月は38kwh。

もちろん最高記録だ。

そして目標として設定していた電気代三桁があっさり達成された。

まだ二週間の試用期間だというのに、ここまで節電できるんかい。すごいな。

これから1ヶ月、改めて本気で冷蔵庫以外ほぼ太陽光だけで暮らしてみるつもりだ。

どこまで使用電力を減らせるか、見ものだ。

 

ここでひとつ。

誤解のないように付け加えておきたいのだが、何も電気代を減らすことに躍起になっているのではない。1円でも光熱費を安くしようとか、そういうことで言うなら、太陽光パネルやバッテリーを購入するより電力会社から買っていた方がコスパはいいのだ。

そうではなくて、可能な限り、外の社会システムへの依存を減らしたいというのが最大の目的。

使用電力が少ない、電気代が低い、というのは、とりもなおさず、電力会社への依存度が低く、エネルギーの自立が進んでいるということの証左なのだということだ。

 

その上で、節電という今の生き方を楽しめたら、それは素晴らしいことなんじゃないだろうか。

 

ただし、このような太陽光パネルやバッテリーで電力をまかなうためには、まず日々の電力消費を可能な限り減らす努力が必要なので、これらのアイテムを導入したら、即電気代が三桁になるわけではないので、注意してほしい。

何はともあれ、電子レンジにさよならをするところから始めてみてはいかがだろうか?

オフグリッド入門⑧ 狂っちまった世界の片隅で、山菜を食し、電気を作る

一年ほど前から、徐々に始まったオフグリッド生活。

 

とはいえ「オフグリッド生活」というものをどう定義したものか、少し悩むところだ。

純粋な意味では、配電線から電気を貰わずに、電力を自給する生活のことをオフグリッド生活と呼ぶのが正しいかと思う。

 

ただ、エネルギーは電気だけじゃないし、社会のシステム全般、つまりガスや水道、道路やインフラ設備に至るまであらゆる点で、我々はエネルギーの自給自足という夢からあまりに遠い生活を送っていると言わざるを得ない。

 

仮に電気を自分で作ったとて、暇人の道楽に過ぎないと言って切り捨てる人もいるだろう。

 

でも、本当にそうだろうか?

 

社会のシステムに取り込まれている状況ではあっても、その依存度を下げて、なるべく自分たちで様々なものを作り出せるようになっておけるかどうか。

これは、いまのこの狂っちまった世界では、実は重要なポイントなんじゃないんだろうか、ということを思うわけだ。

 

自己完結しつつ相互扶助。

 

これは、ただでさえ金が全ての物差しとなった格差社会において、持たざる者が自分たちを守るために重要なことだと思うけど、今現在のような異常事態(緊急事態とも言うらしい)においては、ますますその輝きを増してくる。

 

完全に自己完結できるかどうかは、だからあまり関係がない。隣近所、お互いが補い合うことで、自分のできないことを助けて貰いつつ、自分の出来ることをすればいいのだ。

 

そんな中で物理的に、経済的に、地理的に自分に可能な範囲で最大限エネルギーを自給する。

それも、電気だけではなく、ガス、水道、暖房や食料調達、家や家財、衣服、その他暮らしに必要なあらゆるものを包括的に自給したい。

そんな暮らしのことを「オフグリッド生活」と呼びたい。

 

いやー、相変わらず、前置きが長いね(笑)。

 

まあ、ようするにパンデミックだろうが、巨大台風だろうが、大旱魃だろうが、我々の未来にはあらゆる脅威が待ち構えているわけだ。

例えば今のパンデミックな状況ではどんな勝ち組の金持ちでも、生き残ることはできるかもしれないけど、Q O L(クオリティオブライフの略。生活の質)は著しく下がるだろう。

でも、田舎で自給的な暮らしをしている人は、家と畑と山を行き来する以外に誰とも会わなくても暮らしが普通に成り立つので、金はなくともQ O Lは下がりようがない。

自立できている暮らしは、イレギュラーに強いのだ。

 

それとは逆に、台風などの異常気象にしても、真っ先にダメージを受けるのは社会インフラなわけで、脆弱な電力の送電網はひとたまりもない。

 

本物の田舎暮らしはもともと電気への依存度が低いので、停電にもある程度強いはずだ。

 

※  ※  ※

 

電気への依存度を下げつつ、電力を自給する。それはいつか必ず達成したい。

 

それはこのブログが始まった一番最初から思い続けてきたことでもある。

 

去年、太陽熱温水器と雨水タンクを導入。

 

晴れた日はお風呂のお湯ができ、雨の日は洗濯や畑のための水が貯まる生活が始まった。

これだけでも、災害の時にどれだけ心強いか計り知れない。

 

まして、我が家には薪ストーブという超強力なオフグリッドアイテムがあるわけで、そいつらを組み合わせたら、停電が多少長引こうがQ O Lはほとんど下がらないはずだ。

 

そして、野菜を作るだけではなく、味噌やつけもの、乾物などの備蓄食料に加えて、柿からお酢を作ったり、山で獲れた鹿やシシ肉を加工したり、金銭や経済システムから離れたところで食べ物を得るノウハウもだんだん蓄積してきた。

 

春になれば、もちろん山菜などの山の幸が出てくる。フキノトウは言うに及ばず、先日も山の中で山菜をたくさん収穫してきた。

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3種類あるが、違いがわかるだろうか?

左上のタラノメは定番。

右上のコシアブラと下のタカノツメはよく似ている。
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木の幹や葉の出方はほとんど同じ。

葉っぱが5枚あるのがコシアブラ(左)で3枚なのがタカノツメ(右)

 

コシアブラは山菜の王様とも呼ぶべき、独特の軽い食感と香り。

この季節がいつも待ち遠しくなる。

タカノツメも天ぷらにするとサクサクして美味だが、少し山菜らしい苦みがある。どちらもビールによく合う。

タラノメは定番中の定番なので、今更何も付け加える事はないけど、やはり採れたてが美味しいのは言うまでもない。

 

そんなこんなで、今日もオフグリッド生活を満喫しているのだけど、この度、そんな我が家についに究極のオフグリッドアイテムが加わった。

 

太陽光パネルとポータブル電源だ。
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悩みに悩んだ末、選んだのはjackeryというアメリカのベンチャー企業が生産している畜充電システムだ。

パネルで作った電気をポータブル電源に蓄えて、必要な時にいつでも使える。

 

これぞオフグリッド。

 

もともとはキャンプなどのアウトドアで電力を確保するというコンセプトで開発されたもののようだけど、今は災害時の非常電源としての需要が高まっているらしい。

 

でも、我が家はそれを普段使いとして導入。

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毎日使う電力の多くを、太陽が作り出した電気でまかないたい。

というか、冷蔵庫以外の全ての電気をこのシステムでまかなうのが目標だ。

 

充電中のバッテリー。

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コンセントは2つ使えて、USBケーブルは3つ。

使いやすくて、デザインも秀逸だ。

 

もともとは屋根にパネルを乗せて、完璧に畜充電システムを完備し、電力会社の配電線から我が家を完全に切り離すつもりだった。

しかし、そもそもコストがかかりすぎる。

それに加えて、屋根に乗せるものをなるべく減らしたかった、というのが偽らざる本音だ。

 

フグリッド生活の肝とも言える、電力の自給。しかも、それは停電などの非常時にこそ最大限に威力を発揮してもらわなければいけない。

しかし、停電などは大抵、巨大台風や大地震によって起きるだろう。

今後、想定を超える大きな台風や大地震に襲われる可能性がますます高まっていくのは明らかだ。

そのとき、屋根の上の太陽光パネルは本当に無事でいられるのだろうか?

スーパー台風の暴風雨に晒されて太陽光パネルがぶっ飛んでしまっては、結局停電の憂き目に遭うではないか。

そこが解決できなくて、太陽光パネルを屋根に乗せるのは諦めた。

 

結果的には我が家の畜充電システムは、当初考えていた予算の10分の1で導入できた。

もちろん安い分、パワーは劣る。

しかし、それでもうまくいくように、一年かけて節電生活を身体に馴染ませた。

雨風が強い時や使わない時は、折り畳んで室内に置いておけばいい。

 

あとは、太陽が燦燦と降りそそぐ日に、お日様に電気を作ってもらうだけだ(笑)。

 

電力の自給が始まって、いよいよオフグリッド生活も新局面を迎えたわけだけど、この太陽光発電システムがどれほどのものか、それはまた次回詳しくレポートしたいと思う。

 

果たしてその実力やいかに?

 

 

薪ストーブカンブリア紀⑬ 金なんてなくても生きていくさ

まだ世界がこうなるずっと前、徳島を旅行したことがあった。

 

アレックス・カーの「ちいおり」という古民家を探して険しい山道を車であちこちさまよっていた。

 

道々の民家にはかなりの確率で薪が積み上げられていた。そこに暮らす人々は、いまでも当たり前のように薪で風呂を焚いているのだ。

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伐り出してきた木材をヨキで割り、当たり前のようにエネルギーとして使う暮らし。

連綿と続いてきた、山と共生する暮らし。

 

僕のような軟弱な薪ストーブユーザーにはまだまだ及びもつかない、達観した境地。

ふとした瞬間に脳裏に浮かぶのは、徳島の山中で何度も見かけた飾り気がなくて暮らしに根差した美しい薪棚だ。

 

さて。

 

世界はこうなってしまった。

 

説明は不要だろう。

 

世界はもうこんなことになってしまったのだ。

 

歴史を振り返ると誰でも分かるように、人類に制御不能なあまりにも巨大な出来事が起きることがあって、そんなことがあると、もう二度と元通りにはならないことだってある。

 

おそらく東日本大震災と、それに続いた原発事故も、本当は二度と元に戻せない大きな出来事だったはずだ。

でも、我々は元の生活を取り戻したフリをして暮らしてきた。

そのツケはどんどん大きくなっている。

 

そんな中で今回のアレが起きたわけだ。

 

二度と元に暮らしには戻せないだろうし、もはや元に戻してはいけないんじゃなかろうか。

そもそも、不必要なまでに発達したテクノロジーとともに沈没していくだけの世界に戻す必要なんてあるだろうか。

我々が目指すべきは、全く違った世界じゃないだろうか。

 

今回の出来事がいいきっかけになった、などと寝ぼけたことを言うつもりはない。

混じりっけ無しの悲劇だ。

 

でも、制御もできていないうちから、金のこと、経済のことばかり心配しているなんて、恐ろしいまでにバカバカしい茶番だ。

 

金がなくては暮らせない?

 

シャンプーがないと頭が洗えない?

 

灯りがないと夜を過ごせない?

 

まさか。

 

ないなら、ないなりに暮らすしかなかろう。

 

金がないならどうやって暮らせばいいだろう。

 

まず、食べ物を確保しよう。

 

スーパーで買いだめしたいところだけど、金なしでスーパーに行ってもできることと言ったら、試食コーナーで食べまくるか万引きくらいしかない。

 

なんとか別の方法で調達しよう。

 

野菜は畑で作ればいい。

 

畑がない暮らしなんて、これから目指すべき新しい世界では考えられないはずだ…知らんけど。

 

野菜や穀物は田畑で作ればいい。

 

それはいいとして、肉はどうする?

 

肉も自分で調達するしかあるまい。

 

とは言え、いまのところ独力で鹿やイノシシを捕まえることはできないので、知り合いの猟師さんに、物々交換的に譲ってもらったのが今回の鹿肉だ。

物々交換的、というのは、正確には鹿肉の対価ではないけど、折りにふれて色々できたものを差し上げて、代わりに肉をいただいている、という意味。

味噌やタクアン、自家製マスクなどをお礼として渡している。

 

さて、今回はモモと背ロースをボンといただいたので、まとまりごとに切り分けて保存することにした。

冷凍保存している分もあるが、常温で備蓄できるに越したことはないので、鹿肉ジャーキーにする。

 

この塊をさばこう。
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狩猟用にも使えるレンジャーナイフを使って。
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猫が真剣に見つめる中での作業だ(笑)。
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薄く切りわけていく。
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それを網に乗せて、ストーブで一晩乾燥させる。
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以前、猪肉でも作ったのだが、脂身の少ない鹿肉の方が簡単に作れるし、人間も犬も食べやすかった。
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カリカリになったらジップロックにでも入れて、保管して棚に置いておく。
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貴重なタンパク源の鹿の干し肉。

細かく砕いてペペロンチーノなんかに加えても、結構美味しかった。

もちろんベーコンの方が美味しいけど、金なしでベーコンを手に入れるのはかなりハードルが高いので、鹿肉を食べる。

 

野山に出て自分で仕留めるところまで行くのは、まだまだ厳しいけど、猟師さんが仕留めた鹿やイノシシを自分で解体できるようには、近いうちになる予定だ。

なにせ、害獣として駆除されている鹿は、そのほとんどが食べられることもなく捨てられているのだから。

もちろん、その捨てられた肉を別の鳥獣が食べるのだから、無駄になるわけではないんだけど。

 

さて、獣の話はこれぐらいにしよう。

 

ストーブの熾を利用してうちの奥さんがプリンを作る。
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寒い朝に薪ストーブを着けて仕事に出かけると、その熾を利用してプリンやチーズケーキが焼かれるというシステムになっている。

 

今年は何度もプリンが作られたが、最後になって、スの入らない理想的なプリンができた。
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プリンも贅沢品だな、しかし。

金なしで作るとなれば、鶏とヤギを飼わないとね。

 

我々が目指すべき世界では、家の敷地を一歩も出なくて、やることだらけで忙しいぞ(笑)。

オブグリッド入門⑦ コロナ騒動が突きつけるもの。そして柿酢が完成。

コロナウイルスがこれからどうなるのか、それは誰にも分からない。

そもそもきゃつは一体何者だ。

よく分からないことがパニックを助長しているのは事実だろう。

でも、スペイン風邪のように突然ウイルスが変異して、致死率が上がれば、パニックごっこではすまない本当に危険な状況になることだって充分ありえる。

要は、先行きなんて誰にも分からないのだ。

封じ込められたらしめしめ。

オリンピックでまたひと稼ぎできる人たちがほくそ笑むだろう。

はたまた、危険のギアが一つ上がって、日本中が武漢状態になる可能性だってまだまだあり得る。

 

よくわからない事だらけの現状だけど、ひとつだけ確かな事がある。

 

それは、ウイルスで外出ができなくなっても、経済活動が止まってしまっても、流通や物流がストップしても、田舎で自給的な暮らしをしている人なら、普段通りの暮らしができるということだ。

もちろん、田舎で暮らしていても他の人との交流はいくらでもある。

でも、自分の畑で採れたものを食べ、自分で作った薪やエネルギーを利用した、自立した暮らしなら、籠城生活も単なる日常に過ぎない。

 

効率を求めて究極の分業が進んだ社会に暮らす我々は、そう簡単に社会システムから自由にはなれないだろう。いやはや、なんの疑問も抱かずに暮らすこの社会のなんと不自然なこと。

それがなくなったら人生おしまいか?という勢いで世界中のスーパーの棚からトイレットペーパーが消えていく。

なくなったら仕方がない。

新聞紙で拭くさ。

 

でも、昔の百姓は、あらゆることを自分でこなしていた。衣食住、なんだって自給できた。

お金があってもマスクもトイレットペーパーも手に入らないことだってありえる。

 

当たり前だけど、金は万能じゃないということだ。

 

我々は最も大切な事を他人任せにしてしまってるんじゃないか。

今回のコロナ騒動もまた、そのことを僕たちに突きつけている。一体何回こんなことを突きつけられたら、目が覚めるんだろう。

封じ込めに成功したら、また元のシステムでやっていくつもりなんだろうけど。

本当に引き返せないもんだろうか。

 

やれやれ。

 

そんな中、我が家でまたひとつ、自分の手で作り出せる物が増えた。

もちろん我が家もまだまだ、システムというやつとすっぱり手を切れないでいる。

電気の自給はもう少し先になりそうだし、食べ物の自給自足だってまだまだ道半ばだ。

 

しかし、ひとつひとつ、楽しみながら自分の手で色んなものを作り出していく過程は、人生の醍醐味としか言いようがない。

 

今回作ったのは「酢」だ。

原料は柿。

 

日本中で実る柿。

 

最も簡単なお酢づくり。

 

潰して放置して、時々混ぜるだけ。

 

甘柿でも渋柿でも作れる。

 

栄養的には、柿と酢の両方を兼ね備えている。

 

味はまろやかで、ツーンという刺激はマイルド。

 

そんな最高の調味料が完成した。

絞って、濾してできあがりだ。

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まずは絞る。
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そして濾す。
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消毒が不要なので、洗っていないお酒の瓶に詰める。
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できた。
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数年熟成させた方が美味しくなるらしい。

我が家は酢の消費量が多いのでそこまで残っているかわからないけど、スダチ酢や柚子酢もあるので、併用しつつ大切に使っていきたい。

 

完成祝いに、薪ストーブの天板でたい焼きを焼いて食べた。
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カリッと焼けて美味しかった。