薪ストーブクロニクル

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様々なかかし~徳島の案山子の里やリアル案山子に見る田園風景の変遷~

案山子(かかし)と言えば、田んぼや畑で、主にカラスから作物を守るために昔から作られてきたものだ、という認識がある。

 

いわゆる案山子の定番のイメージはこんな感じだ。
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おそらく、昔からこんな感じのデザインで田畑に飛来するカラスを脅かしていたのだろう。まあ、頭の良いカラスのことだから、しばらくしたら、こいつは動かないから危なくないぞ、とか認識したんだろうけど。

今日に至るまで作り続けられているということは、やはり一定の効果があるということだろう。

 

しかし、最近の田園風景を眺めてみると、案山子の様子が以前と違うことに気付かされる。なんだか案山子のクオリティーが妙に高くて、我々人間が見ても、本物の人が畑にいるように見える作品をよく見かけるのだ。

 

例えば、先日見かけたこの案山子。

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近づいたからこそ、身体がやけに薄っぺらくておかしいと分かったのだが、遠目に見ると「あの人はこんな所で何故にたたずんでいるか?」と疑問に思うほどだった。

 

もはやウケ狙いなのか、というような案山子もある。例えば、ネット上で見つけたこんな画像。
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リアルすぎるJK案山子の横には、斬殺されたのか、晒し首がずらりと並ぶ(笑)。

これは、カラスに対しての警告なのだろうか、近づくと首を落とすぞ、という・・

 

ちょっと趣向が変わるが・・

案山子を観光資源にしている徳島県祖谷渓谷。四国を車で旅行した際、「案山子の里」という場所があることを、現地にいってから知り、これは面白そうだと寄ってみると、その名に負けない案山子の大群に遭遇した。

車でその村を通りすぎる間、見かけた村人が全員案山子なのだ。
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服装品が妙にリアルだと思ったら、実際の村人がお亡くなりになる度に、その方の服や装飾品をその人に似せた案山子にまとわせて、村に案山子を少しずつ増やしていったということだ。

リアルに見えるのではなく、ある意味で動かないけれど本物の村人なのだ。

世の中には色んな場所がある。

我々が訪ねたときは、全く知らなかったが、この案山子の里は結構有名みたいで、外国からもわざわざこんなに交通の便の悪い場所にやってくるらしい。

ここに込められた意味を知ると、おいそれとは笑えない。案山子にも色々あるものだ。

 

最後に案山子に関する映画をひとつ紹介する。

1973年のアメリカ映画『スケアクロウ』だ。

案山子は英語でスケアクロウ。案山子がテーマの映画というわけではないが、というか、話の筋の中で案山子は主要なテーマにはなっていないが、もちろん案山子は登場する。心にしみじみ残る良い映画だ。あらすじはというと・・

服役していて出所したばかりの荒っぽくて不器用なマックスと、船乗りで故郷に5年も帰っていない陽気なライオン。マックスはピッツバーグで洗車屋を、ライオンはデトロイトでまだ会ったことのない子供に会いに帰るところだった。正反対の性格の二人が意気投合し、それぞれの想いを胸に目的の場所まで一緒に旅をするロードムービーだ。

陽気なライオン役でアルパチーノが出ている。深夜に民放で時々やっている映画としては、過去に観た中で最も印象に残っているような気がする。

映画の中で案山子がどんな風に登場するのかは、ぜひ観て確認してほしい。