薪ストーブクロニクル

食とエネルギーの自給を目指して

薪ストーブ原生代⑮ 遅焚きのすすめ

前回の記事で書いたことだが、我が家には今シーズン安心して焚ける薪が少ない。

去年以上に心細い。

 

あることはあるのだが、まだ乾燥が不充分だと思われ‥。

 

ここの薪棚などは、余裕で焚ける桧と、ちょっと乾燥が怪しいくぬぎなどが混在しているが、それでも他の未乾燥薪よりはマシだと思われ‥。

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それでも、薪在庫の様子からしてここの薪は、新年が明けた1月頃には焚かざるをえないと思われ‥。

 

と、北の国からの純ばりに、なげやりな薪予測から始まった今日の記事。

 

10月も終わろうと言うのに、そして何よりも、このブログが薪ストーブ愛をごり押しする薪ストーブブログであるにも関わらず、まだ今シーズンの初焚きをしていないわけで‥。

 

他の薪ストーブブログは次々と初焚きの記事をアップしている2018年の10月。しかしながら我が家は、冬の終わりまで薪が足りるのかいささか不安があるから、初焚きに踏み切れないわけで‥。

 

いっそのこと、同じ悩みを共有する薪ストーブユーザーに向けて、初焚きが遅くなると、どんないいことがあるのか、思いきり掘り下げてみて、傷を嘗めあおうじゃないか、という趣向で書いてみる。

すなわち、

遅焚きのすすめ

だ。

まあほとんどヤケクソみたいな記事だ。

すでに初焚きを終えて薪ストーブのシーズンインを高らかに宣言されている諸兄たちは、負け犬の遠吠えとでも思ってもらいたい(笑)。

 

さて、薪ストーブの初焚きが遅くなると、どんないいことがあるのか。

そんなものあるのだろうか?

まあ、列挙してみよう。

 

①薪の節約

まあ、当たり前の話だが、初焚きが遅くなれば、薪ストーブを焚く期間が短くなる。

つまり、必然的に薪の節約になるに決まっている。

一見、遅焚きのメリットはこれだけじゃないか、と思いがちだが、実はシーズンインを遅らせても、それほど劇的な薪の節約にならなかったりするんじゃないか、と思っている。

この時期の薪の焚き方を思い起こしてほしい。

秋に薪ストーブに火を入れても、すぐに部屋が暖まり、ほとんど追加薪をしなくても満足が得られる。否、過度な追加薪をすると、暑すぎて不快なくらいだ。

少し薪をくべたら、もうおしまい。

これは、真冬の薪消費とは比べ物にならないくらいささやかな薪の量だ。

なにせ、真冬には、蒸気機関車に石炭をぶちこむように、薪ストーブに薪をぶちこんでいく。必然的に目に見えて薪は減っていく。

例えば、同じ数週間でも、秋と冬では薪の使用量は全く違うのだ。

 

つまり、遅焚きをおすすめする理由は、薪の節約だけではないのだ。

 

②焚き付け材の節約

おなじ節約でも、焚き付け材や小割りに関しては、秋も冬も使用量に大差がない。

いや、むしろ24時間焚くような環境では、冬より秋の方がずっと焚き付けや小割りを多く使用するのかもしれない。

まして、この季節は場合によっては朝晩2回焚き付けをするときもある。そうなれば、2倍の焚き付けを使うことになる。

この季節に遅焚きすることは、焚き付け材の大いなる節約に繋がるのだ。

 

まあ、焚き付けに関しては薪ストーブの差が大きく出るかもしれない。

火を入れてから巡航運転に至るまでの時間やその燃え方によっては、焚き付け材をあまり必要としない薪ストーブもあるのだろう。

実際、真冬にはほとんど焚き付けを使わない、と書かれたブログもある。

しかし、我が家のネスターマーティンは焚き付け材や小割りをたくさん必要とする機種なので、この焚き付け材の節約は非常に大きな意味があるのだ。

1年目だった去年は、たくさん用意したと思った焚き付け材を10月の終わりごろ(ちょうど今頃だ)までにほとんど焚いてしまい、その後は自転車操業的に焚き付け作りを冬が終わるまで延々と続けた、という苦い記憶がある。

 

焚き付けの節約は切実なのだ。

 

③その他のメリット

遅焚きのメリットはまだまだある。

 

その最たるものが、例えばサウナ。

汗をかいて、我慢して我慢して、その後に飲むビールの一口目だ。我慢すればするほど、その一口目の効用が高まる。

 

え、なんのこっちゃ?

 

つまり、だ。我慢する時間が長ければ長いほど、そのあとのご褒美の価値が高まるという考え方だ。

人間とは結局のところ、相対的な価値観しか持ちようがないので、毎日神戸ビーフのステーキを食べ続けたら、いつかその味に何も感じなくなってしまうけど、砂漠で飢餓の苦しみを味わった人なら、魚肉ソーセージでも涙が出ることだろう、ということだ。

いや、これはちょっと極端すぎる例えだけど、でも、ある程度晩秋や初冬の寒さに震えてから、「待ち焦がれたぜ」という気持ちで初焚きを迎えたら、その暖かさや感動がさらに増すのではないか、という予想。これはまだ体感していないので、あくまでもそうなんじゃないかなーという予想だ。

そしてそれ以上に、すでに焚いている人たちへの負け惜しみだ(笑)。

 

まあ、せっかく焚くのを我慢しているのだから、それくらいのご褒美があってもいいじゃないか、ということ。

これは遅い初焚きをしてみて、実際はどう感じたか、またその時に報告することにする。

 

さて、それ意外にも、まだある、遅焚きのすすめ。

寒くなってすぐに薪ストーブを焚いてしまうと、猫たちが人間に「ゴロニャン」と甘えてこないのだ。

ストーブが暖かすぎて、人間の体温なんてお呼びじゃなくなる。

しかし、肌寒くなってきてもまだ焚いていない今年は、去年とはちがって猫たちが布団に入ってきたり、膝に乗ってきたり、とにかく甘えてくる。

そんなことをするのは寒い季節だけなので、早い時期に薪ストーブを焚いてしまうと、猫と暮らす最大の幸せをうしなってしまうことになるのだ。

 

冬の寒さを体感した上で、あらためて薪ストーブの暖かさに感謝しながら過ごす冬。

きっといつも以上に薪ストーブのことを好きになるはず。

 

え?

そんなこと(遅焚き)しなくても、充分薪ストーブに感謝しているって?

 

これはまた失礼。

 

繰り返すようだけど、本当は早く焚けるお家が羨ましいのだ。

 

我が家では、室温が15℃を下回ったら、さすがに焚こう、ということでうちの奥さんと合意書を交わしている。

 

今朝は17℃だった。あと少しで初焚きか?