薪ストーブクロニクル

食とエネルギーの自給を目指して

薪割り斧、最初の一本におすすめのフィスカースx25

はじめて薪割り斧を選ぶとき、色々調べた結果、3択になった記憶がある。

①グレンスフォッシュ(スウェーデン

②ヘルコ(ドイツ)

③フィスカース(フィンランド

ざっくり特徴を書くと、まず①②③の順に価格が下がる(笑)。グレンスが一番お高くて2万円前後、ヘルコは1万2千円前後、フィスカースが8千円前後だ。

そして斧のタイプは、①と③はヘッドスピードとコントロールで割るタイプ、②がエラの張った斧頭の形と重さでまっぷたつに叩き割るタイプだ。

まず第一印象。見た目だけで選んだら、絶対①だと思った。だって文句なしにカッコいいからね。でも、高いし、すぐには手が出なかった。

インターネットで調べていると、②の方が力のない自分には向いているんじゃないかなぁと思うようになった。だって力を入れずに振りおろすだけで「パッカーン」と割れて二つになった薪が10mぐらい吹っ飛んでいくって書いてあるからね。これならできそう、と思ったわけだ。

そんなわけで②のヘルコ・スプリッティングアックスにだいぶ気持ちが傾いていたところに新しい情報が朝一番で飛び込んできた。これは何度か書いている事だけど、木の柄の斧を薪割り初心者が使うと、ミスヒットして柄の部分を玉に当ててしまって手がビリビリしびれる事がよくあるらしい。そしてビリビリのミスヒットを何度も繰り返すと、結構簡単に柄にヒビが入ることもあるらしい(大丈夫なものも、もちろんある)。それと、吹っ飛んでいった薪が車に当たったり人に当たったり、結構危ないらしいので、妄想癖のある僕としては、変な想像をしてしまって怖かったというのもある。新車やベイビーに当たったらどうするんだetc.etc.

それなら斧使いに慣れるまで、丈夫なことで知られるグライスファイバー製の斧、フィスカースを使って薪割りを覚えよう、くらいの軽い気持ちで選んだ。去年の12月頃の事だ。

 

そしてフィスカースFISKARSのX25をチョイスして四ヶ月が経過した。冬の間に5立米ほどの木を薪割りしたので、その感想や注意点などをお伝えしたいと思う。

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 ↑直径40㎝クラスの玉もこの通り。

 

フィスカースにはメインの薪割り斧としてX25とX27の2つがラインナップされている。身長170㎝くらいならX25がよくて、180㎝を超えるような体力に自信のある人はX27をチョイスすると良い、と説明があった。が、実はこの2種類の斧の斧頭は同じ重さである。何が違うのかというと柄の長さだ。X25は70㎝、X27は90㎝となっている。この長さの違いは大きいらしく、両方使った方の感想では、X27は重すぎて疲れる、というものがいくつか見られた。この20㎝の違いで大きく変わるみたいだ。比べたことがないのでなんとも言えないが。

そんなわけで短いX25を選んで薪割りを始めたんだが、短い方でも始めはめっちゃ重く感じた。重くて狙ったところに当たらず、何度か足に当たりそうになった。正しい薪割りフォームを調べて、安全に振り下ろすようにしたが、それでもコントロールがつかず、真ん中に当てられなかった。そもそも、怖くて全力で振り下ろすことすらできないのだ。

もし試し割りでこの斧を試していたら、「こんなに重いのでは薪割りができないや」と早合点してもっと軽いものを選んでいたかもしれない。しかし、1ヶ月も振っていると重さには慣れる。少し重いな、と思ってもすぐにコントロールもついてきて、狙ったところに落とせるようになってくる。そして数ヶ月斧を振った感想としては、ミスヒットしても全然びくともしないし(5,6回ミスヒットした)、かなり硬い玉でも頑張れば割れるし、申し分のない斧だということが分かった。そして黒とオレンジのデザインにもだんだん愛着が沸いてくる。

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丈夫で割りやすいいい斧だ。しかも安い。最初の一本ならこのフィスカースX25が本当におすすすめだ。

薪割りに慣れてきた今、もう少しパワーがあるX27が欲しいなーと思ったりもする。乾燥が進みすぎた玉はかなり頑固で、X25では時間がかかることがあるからだ。

 

おすすめといえば、このフィスカースのおすすめポイントがもうひとつあって、それは研ぐのが楽だということ。専用のシャープナーは、誰でも簡単に研ぐことができて、しかも価格も驚くほど安い。安ければいいというものではないが、失敗なく簡単に研げるというのは初心者には嬉しい。

 

ちょうど季節は春。あなたもフィスカースX25で快適な薪割り生活をスタートさせませんか?

僕は、夏野菜の準備が始まっているので、薪割りに時間が割けないのがつらいところだけど・・・

 

※フィスカースの斧に関してはこちらものぞいてみてくだされ。

フィスカースの斧 - 薪ストーブクロニクル

FISKARS X25偏愛①やっぱりグレンスフォシュの方がいい? - 薪ストーブクロニクル

 FISKARS X25偏愛②フィスカースの斧頭と専用砥石について - 薪ストーブクロニクル

 FISKARS X25偏愛③お気に入りのX25とX7 - 薪ストーブクロニクル

 

当blogの薪ストーブ関連の記事に関しては、以下のサイトを見てください。

薪ストーブ前史 カテゴリーの記事一覧 - 薪ストーブクロニクル

薪ストーブ前史25 薪ドミノ

極太乾燥玉を割りながら、ちょっと遊んでみた。

これはもらってきた玉の中でも最も直径のでかいものだ。心してかかることにした。

とりあえずど真ん中に全力で打ち込む。
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実に爽快。気持ちよく割れる薪割りは、本当に精神衛生上よいと思う。

 

さてその玉をまずこんな感じで
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四等分。

 

そしてさらに
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八等分。

 

さらにさらに
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十六等分。

 

あ、手がすべった‥

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並べた薪がドミノ倒しのように倒れていってしまった。こんな遊び方もできるんですね。

 

その後、精力的に割りまくり、この玉ひとつでこれだけ薪ができた。


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薪割りって楽しいですなぁ。

薪ストーブ前史24 極太乾燥玉を割りまくる

極太乾燥玉を運び込んだ。とはいえ、全部ではない。3往復ぐらいしたが、まだあと半分ぐらい残っている。うまく割っていけたら、いつか全部運び込むつもりだが、とりあえず割る。まず割る。

 

薪割台に玉をセットする。

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これは相当割りごたえがありそうだ。早速フィスカースを手に気持ちを整える

さてどうやって割ってやろうか。たまらなくワクワクする瞬間だ。しかしこの玉、よく見ると薪割台よりもデカイ。本当に割れるのだろうか。

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まずど真ん中に思い切りヘッドスピードを乗せて全力で叩き込んだ。


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難なく真っ二つ。あれ、余裕で割れるなぁ‥

 

そしてさらにもう一太刀。

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これはいける。

その後、短いこの薪の長さに合わせた太さになるまで根気よく割り続ける。

このひと玉でできた薪の量が以下の通り。

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分かりにくいかな?反対から見るとこんな感じ。

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かなり細かく割ったので、焚き付けはじめの小割りとして活用したいと思っている。どうなるかな?

薪ストーブ前史23 極太乾燥玉を運ぶ

桜の原木をいただいた工務店の工場には車の荷台まで持ち上げるのも困難なほどの大きさと重さの極太の玉がゴロゴロと転がっていた。樹種は不明だが、ずっしり重い広葉樹だ。

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表面はどす黒く色あせ、物によってはいやらしい節や二股があり、しかも非常に長い間地面に置かれて雨ざらしになった、やや訳ありの玉だが、工務店の社長は、全部持っていってもいいぞ、と気前のいいことを言ってくださった。

桜の原木をもらったり、薪ストーブ前史⑭桜の原木をもらう - 薪ストーブクロニクル

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キノコの生えた薪をもらったり、薪ストーブ前史⑮キノコ薪と薪棚の成長 - 薪ストーブクロニクル

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ずいぶんと初めての薪集めをエキサイティングに盛り上げてくださっている社長に今回も甘えて、もらって帰ることにした。

とはいえ、今回の原木はまず重すぎて車に載せられない。直径が50㎝で、長さが40㎝という極太サイズ、おそらく60キロぐらいの重さがあるんじゃなかろうか?

しかも玉切り後、長期間放置されたためかなり硬くわりにくくなっている。

どうすればいいか。断腸の思いで、こいつらを短い小割り薪を作ることにする。で、どうしたかというと、長さ20㎝ほどにさらにチェーンソーで短く切り、やっとの思いで車の荷台まで持ち上げることができた。

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巨木としかいいようのないこの迫力。この数ぐらいが限界かもしれない。そもそもこれ以上上には持ち上げられない‥

以前運んだけやきの細い原木と比べればさらにその迫力がわかる。

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いやー、このけやきが細すぎるだけかー(汗)。

 

そんなこんなで、例によって薪場まで運び込んだ。さて、しかしこの極太の玉切り。割れるのだろうか?

バベルの塔

バベルの塔に住んでいる超能力少年バビル2世の話、ではない..。

 

地球上には約2800もの言語があるそうだ。国は200前後しかないのに、その10倍以上の言語が話されていることになる。なんてこった。そりゃ、国同士がお互いに意思疏通するのが難しいに決まってる。

どうして世界中でバラバラの言語が話されるようになったか、それを説明する一枚の有名な絵の話がある。

それがブリューゲルという画家が描いたこの「バベルの塔」という絵画である。

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旧約聖書に出てくる、ものすごーく昔々のお話。その昔、人類は誰もが同じ言葉と同じ言語を用いていた。そこで人々は慎ましく石と漆喰の街で暮らしていた。しかし、あるときから、技術革新が盛んになり、石はレンガになり、漆喰はアスファルトにとって代わられた。その新しい技術を使って、人々は神の住む天上まで達する高い塔を建設しようと力を合わせ始める。自分たちの技術を過信し神の領域に近づこうとした傲慢な人間たちに怒りを覚えた神々は、塔の建設を不可能にするために人々がバラバラの言語を話すようにしてしまい、意思疏通のできなくなった人々はお互いに反目しあい、同じ言葉を話すものたちごとに様々な地へ散らばっていった。

 

と、まあざっくり言うとこんな感じのストーリーだ。本当にあったこととは思えないが、現代でも、バベルの塔だったんじゃないか、という建物の跡が残っているという話もある。

 

いかにも一神教的なご都合主義的なお話にも聞こえるが(あらゆる人が同じ言葉、同じ言語を話していたというそもそもの設定にかなり無理がある気がする)、それでもこの物語には現代に通じる強烈な教訓が込められていると思う。

 

技術を過信し、万能であると勘違いして間違った技術革新を繰り返し、挙げ句に取り返しのつかないことになってしまった経験を私たちもしている。言うまでもなく、原子力発電のメルトダウンのことであり、おそらくは人工知能遺伝子組み換え技術やリニア新幹線や、昔はそんなものがなくても人間が生活できた物の技術革新が進んでもろくなことにならない気がする。これらは単に過度に進んだ資本主義社会をもう一発空回りさせるための「すかしっ屁」でしかないのだ。これこそまさに現代のバベルの塔そのものではないだろうか。

原発の利益構造は日本社会の7割ほどの企業を巻き込んでいるという話なので、もはや後戻りできないほど複雑に絡み合っているが、こんな構造そのものが本当にアホだと思うし、なるべく、関わりたくないと強く思う。

福島の後でも原発と離れなれない腐れ縁なのだとしたら、もはや完全に破滅するまで手放さないつもりかもしれない。

そんな社会と距離を置くにはどうすればいいか?答えは簡単である。

 

薪ストーブ!

 

まあ、薪ストーブだけではちょっと弱いかもしれない。でも、薪ストーブに私たちが心惹かれるのはなんといってもその炎そのものであり、そしてエネルギーを自給している、という充足感だろう。もちろん、山から自分で木を切って薪にまでするという、徹底したオフグリッドぶりを発揮できる人は少ないかもしれない。でも、エネルギーを自給しているという満足感は、現代社会がもつ異常な構造的な闇の裏返しなのではないだろうか。

なんとなくこのままじゃ破滅しそうな世の中で、破滅しなくて済みそうな行いに対して、安心感を感じる気がする。

それは野菜作りでもそうだ。オーストラリアで干ばつが起きると、食システムの事情でなぜかアフリカのセネガルの食糧がなくなって人々が飢える。それってかなり異常なことだと思いませんか。スーパーで普通に食べ物を買うってことは、セネガルの人々の飢えに知らず知らず加担しているということだ。

食とエネルギー、そして人間関係。この3つを自給自足することができれば、お金がなくても幸せに暮らせる。間違いない。それをこのブログを通じて証明しようと思う。

薪ストーブは、その自給する暮らしの斬り込み隊長だ。物語はまだ始まったばかり。もうすぐ給料が半分になるのにワクワク感しかない。なんせ、給料が半分になる代わりに、自由な時間が倍に増える。

自給するスローライフな暮らしに一番必要なのは、時間だからだ。

 

バベルの塔をせっせと建設する人たちを横目に、そんなものを作らなくても幸せに暮らせますよって教えてあげたい。そんなことが本当に可能だろうか?

うーん、やっぱりワクワク感しかない。

薪ストーブ音楽館③チェロソナタ第3番(ベートーヴェン)

寒い冬の夜。薪ストーブが煌々と燃える部屋にテレビは似合わない。

もちろん、部屋を暗くして静かに薪がはぜる音に耳を傾けるのも素晴らしい。

しかし、時には炎のぬくもりを感じながら、じっくりと音楽を聴いてみるのもいい。

そんな、薪ストーブを傍らに置いて聴きたい音楽を紹介する「薪ストーブ音楽館」。今回はこの一枚。

 
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チェロソナタ第3番  ベートーヴェン作曲

 

ピアノがケンプでチェロがフルニエ。もちろん、演奏家などある意味誰でもよい。素晴らしい曲であり、素晴らしい演奏である。録音が古すぎないため、古色蒼然という感じではなく、しかし非常にクラシカルな演奏で、すばらしい。大げさな演奏ではなく、どちらかと言えばテンポと速めで淡々と演奏している。それが、ベートーヴェンの凄さを浮き彫りにしている感じだ。

チェロの音色と薪ストーブの相性は最高だ(と個人的には思っている)。ヨーヨーマのような灯台随一の名人の演奏も素晴らしいが、このフルニエという人は、とにかく音色そのものにうっとりさせられる。絶品の演奏だ。また、ピアノのヴィルヘルムケンプは、あえて説明するまでもないくらいだ。聴けば、その飾らない音から音楽を愛する心情がじわじわと伝わってくる。

曲冒頭の野太いチェロ単独の音色から始まり、美しい旋律ではなく、どちらかと言えば武骨な建築物をチェロとピアノが築き上げていくかのようだ。いや、美しい幾何学模様の織物だろうか。

 

チェロの音楽をじっくり聴くなら、ぜひこの一枚から入って欲しい。その後、ドボルザークのコンチェルトでもバッハの無伴奏でも好きなものを聴けばよいと思う。

 

カップリングで(というかメインで)同じベートーヴェンのピアノトリオ大公が入っているが、そちらも良い。まず曲が良すぎる。この曲に関しては、非常に古めかしい録音になってしまうが、カザルストリオの演奏がよいと思う。特に薪ストーブのぱちぱち薪のはぜる音と、そのCDの録音に起因するレコードのようなぱちぱちというノイズは、うまく馴染むのではなかろうか?

チェロソナタの傑作を、薪ストーブの前でじっくり耳を傾け、チェロの最高の音色で存分に楽しんで欲しい。

薪ストーブ前史22 野外薪ストーブの導入

BESSにて野外薪ストーブ体験をしてしばらく、ひたすら手近にある木を薪割りするだけの日々が続いた。しかし次の冬の薪ストーブの導入があまりにも待ちきれなくて、ついに野外薪ストーブを購入してしまった。

それが、この正月のことだ。

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それからは、薪場に行くたびに訳もなくストーブを焚いていた。ストーブに火をつけながら薪割りをしたり、ストーブの火にあたりながらチェーンソーの目立てをしたり(笑)。

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時には飼い犬を連れていき、無理やり野外薪ストーブの前で暖をとらせたりした。飼い犬は慣れないストーブにしばらく戸惑い、渋っていたが、やがて椅子の上で眠ってしまった。

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今年は雪が多かったため、冬の薪割りは困難を極めた。しかしどうしても割りたいものは仕方がない。野外ストーブで暖をとりながら、そして焚き付けの練習をしながら、時々コーヒーを飲みながら、ずいぶん活用した。

 この手の薪ストーブは天板の温度がすぐに上昇するのでお湯がすぐに沸く。それが何よりもありがたい。もちろん、コーヒーを淹れるぐらいにしか使えないのだが、それでも災害時には強力な熱源として暖房や調理に活躍してくれること請け合いだ。

使った薪は主に短めの針葉樹だ。すぐに火が着くし、鋼鉄製のストーブは多少温度が上がっても、鋳物製と違ってびくともしない。幸い、針葉樹はたっぷりあるので、焚き放題だ。

 

そうこうしているうちに、春がやって来た。

雪がすべて溶けた。

そうなると、ストーブの火はむしろ熱い。そして暑い。薪割りをした日には、3月だというのに流れ出る汗でシャツを着替えたくらいだ。

 

これからの季節にはどのような活用法方があるか、これからじっくり考えよう。