薪ストーブ始生代106 マーマレードと薪ストーブ
我が家では春の訪れを告げる行事として、マーマレード作りがある。
毎日食べるわけではないので、それほど大量には作らないが、それでも甘夏2キロ分、ジャムにして3キロ前後の甘夏マーマレードになる。
甘夏はマーマレードに関しては、無農薬栽培のものが好ましい。皮が主役だからだ。
皮をむいて、実は後で使うので、別にしておく。
そして、まず皮だけをゆでこぼす。
レシピを読むと、「皮を浸るくらいの水の鍋に入れて火にかけ、沸騰したら慌ててザルにあける」という、ややユニークな表現でそのゆでこぼし方が説明されている(笑)。
よく見えないけど、茹であがった。
さて、ここから茹でた皮を食べやすい薄さに刻んでいくのだが、この作業がかなりつらい。
気合いを入れるためには、BGMが重要だ。
マーマレードの皮を刻む音楽は、この人に決定。
マイコーの正確無比なビートと、不必要なほどの緊張感をはらんだボーカル。
柑橘の皮をひたすら刻むのにこれほど適した音楽も他になかろう。
というわけで、二キロ分の皮を刻み終えて、下ごしらえ完了。
ここから本当は皮を水に浸けたまま一晩置いておく。
のだけど、朝にこの作業をしたので、夕方に再びマーマレード作りを再開する。
近所のおっちゃんにもらった酸っぱい夏みかんは、皮が固すぎてマーマレードには向かないので、絞って夏みかんジュースを作った。
一部はマーマレード作りに利用し、残りは空のスコッチのビンに移しかえておく。
さて、ここからが本番。
甘夏の実を細かく刻んで、鍋に入れて弱火で煮る。
煮ていくと、だんだん水気が出てくる。
種もペクチンをたっぷり含んでいるので、とろみをつけるために一緒に煮た方がいい。
ただ、適当に種ごとぶちこむと、僕たちのように後で必死で取りのぞかないといけなくなるので(笑)、お茶っ葉を入れる袋にでも入れて一緒に煮ると、後が楽だ。
さて、そうこうしているうちに、日が暮れてきた。
皮と砂糖を入れて、さらに煮込むのだけど、少し肌寒いのでストーブに火を入れて、ストーブトップで最後の煮詰めをすることにした。
ちなみに砂糖は甘夏の重さの65%にしてみた。甘夏が二キロなので、砂糖は1.3キロだ。
さすがにもう春本番。肌寒いとはいえど、ストーブをつければ、部屋はすぐにポカポカだ。
好みの固さに仕上がったら、あとは瓶詰め。
あらかじめ煮沸しておいたビンに、ギリギリまでマーマレードを入れ、逆さ向けておくことで完全に密封した状態を作り出す。
全部で10ビンほどできた。
ジャムのなかでも飽きの来にくいマーマレード。
美味しいバターとこの手作りマーマレードをたっぷり塗った焼きたてのパンを食べるのは、文字通り至福のひとときだ。
しかし、まあマーマレードは手間がかかる。時間に余裕を持って、心して作る、春の恒例行事、無事終了。少しホッとした。